院長ブログ

🐄→🐅2021年、大変お世話になりました🐮→🐯


本日にて、当院の年内の診察は最終日となります。

12月31日(金)~1月3日(月)までは、休診とさせて頂きます。

年明けの診療は 1月4日 火曜日からとなります。

今年も一年間、皆様には大変お世話になりました事、厚く御礼申し上げます。🙇

2022年も、うぇる動物病院をどうぞ宜しくお願い致します。🐯

コロナ禍続く2年目となった2021年でした。2022年もコロナ禍は続き、3年目となってしまいます。

感染爆発、医療崩壊...そういった事態が現実となってしまった年でした。しかし、ワクチン接種の普及と、コロナ対策の生活様式の継続により世界の中でも日本は劇的な感染者数の減少となっています。その理由は未だに明らかとなってはいませんが、この素晴らしい結果を継続して世界に示していきたいものですね。

コロナに負けず諦めず!!頑張っていきましょう!!

IMG20211230112253.jpg



腸閉塞(ゴム片)の猫ちゃんの一例


前回に続き、猫ちゃんの異物による腸閉塞です。

今回の猫ちゃんの閉塞の原因はゴム片でした。詳細に何のゴム片だったかはわかりませんが、パズルマットや滑り止め等の一部ではないかと想像しています。

前日からの食欲低下と複数回の嘔吐を主訴に受診されました。

初日での診察、レントゲン検査では原因がはっきりとは判別ができずこの日は対症治療のみでしたが、翌日以降も食欲不振が改善せず、再診時に改めてレントゲン検査と超音波検査を実施すると、その時には初日では見つけることのできなかった"閉塞"を疑う所見が出てきました。

無題.jpg

レントゲン画像では、初日と比べると腸の中に空気(黒い筒状)の貯留が明らかに増加していました。

よく見ると、少し怪しい影も...?というところでしたが、レントゲンでは確定ができなかった為に超音波検査へ。

異物1.JPG

腸の一部分の超音波検査画像ですが、前回の糸での閉塞の猫ちゃんは超音波検査でも断定ができなかったのでバリウム造影検査も実施しましたが、今回の猫ちゃんはこの画像から異物閉塞が断定できました。

異物①.jpg

赤線の部分が異物です。この画像の前後の腸の関係性もありますが、この所見にて異物閉塞を断定し、血液検査、術前輸液を実施した後に手術を即日実施致しました。

InkedKIMG1534_LI.jpg

(画像の色調を加工しています。)線で囲った腸の部分が不自然な形状をしており、また触ると内部に固い物がガッチリとはまっています。

KIMG1536.JPG

これが閉塞の原因です。長さは3cm程です。

摘出直後は胃酸などの影響で表面は固くなっていました。洗浄して正体を確かめると、弾力性があり、ゴム片と判明しました。

数年前にパズルマット片で閉塞を起こした猫ちゃんの例がありますが、それと類似のケースとなります。

ゴム片が何なのか、そしてどこにあったものかは飼い主様にも不明との事です。

猫ちゃんだけでなくワンちゃんもそうですが、どこから何をもってきて齧っているのか飲み込んでいるのかを全て把握するのは難しいです😢

普段の生活の中で、そういったイタズラしやすいもの・していているもののチェックは日頃から観察して頂くようにお願い致します。



腸閉塞(糸)の猫ちゃんの一例


猫の誤飲などによる腸閉塞で多いものは、オモチャ、糸、パズルマット、果物の種、消しゴム等々があります。

以前に当院では誤食ではなく、毛玉による例とパズルマットによる例の猫ちゃんをブログに記載したことがあります。

今回は、その誤飲の例の中でも多く、そして上記に挙げたものの中で最も怖い"糸"が原因だった例です。

若い年齢の猫ちゃんですが、数日前からの食欲低下と食後の嘔吐を主訴に来院されました。

受診初日では明らかに腸閉塞を疑う所見に乏しかったですが、後日に改めて診察させてもらった際にレントゲンで怪しい箇所が見られました。

無題.jpg

画像を見易く加工していますが、どこが怪しいかわかりますか?

怪しい部分は、2か所です。

小さい赤丸部分は、何か怪しい影が...

大きい赤丸部分は、腸が"くしゃ"と畳まれているような所見になっています。

InkedInkedLI_LI.jpg

確認の為、造影剤を用いての撮影を実施しました。

Inked_LI.jpg

造影剤を流すと、食道から胃に向かって一直線に造影剤が見られます。通常ならばこのような画像は絶対ありえません。

この画像から、「腸閉塞を起こしており、その原因は間違いなく糸」と判断できます。

実際に麻酔を行い、口の中をよく確認してみると舌の根元に糸が引っかかっているのが確認できました。

KIMG1529copy.jpg

この後、胃及び腸の複数個所を切開し、糸を摘出しました。

KIMG1531.JPG

糸の全長は計測していませんが、2m以上はあったと思います。

術後は回復も早く、嘔吐も一切見られなくなりました。数日の入院後、元気に退院していきました。

元々、糸で遊ぶ癖があったようでしたので、今後も飼い主様には周囲を注意して見ていただくようにお伝えしました。

先程挙げた異物の中で、何故に糸が最も怖いかというと、閉塞を起こして影響を及ぼす範囲が非常に広くなってしまう事が理由の1つとしてあります。また、糸単独ではX線ではなかなか確認しにくいという事もあります。

糸を飲み込んだ際に、時々お尻からちょろりとでてくることがあります。軽く引っ張ってススッ~と糸が取れる場合には問題ありませんが、途中でググッという抵抗感が見られた場合には決して引っ張らないでください。途中で引っかかってしまって、最悪そのまま引っ張ると腸を裂いてしまう恐れもあります。

糸、紐、長い髪の毛など、決して侮るなかれです。



マイクロチップ、その登録先はどこかしら?🤔


迷子札としてや、個体識別として広く認知されて実施されているマイクロチップ。

マイクロチップが実際に役に立つのは迷子、脱走・逃走、災害時などの時なので、ハッキリ言うと『役に立って欲しくはないアイテム』で。しかし、いざその事態が起きてしまった際には速やかに飼い主様の元に戻れる可能性が高くなりますので、『役に立って欲しくはない...けども、あると安心なアイテム!!』という感じです。

その他にも、マイクロチップがあるとペットショップやブリーダーさんなどでは個体識別がしっかりとできますし、こちらも望ましくはないですが飼育放棄や遺棄などで保護された際の責任の所在を明らかにすることが可能です。

改正動物愛護法により、生体販売においてはマイクロチップの装着が義務化されます(2022年6月より)。そして、マイクロチップの装着された新しい家族を迎え入れた際には、飼い主様には登録情報の変更届け出義務が生じます。...はて、何のこと?

ショップ等にいる動物達に装着されたマイクロチップは、登録名目上では飼い主=お店、という事になります。変更をしないと飼い主はそのままお店の名義となりますので、新しく家族として迎え入れた場合には飼い主名や住所、動物の名前の変更をしないといけません。これが、変更届け出義務となります。

マイクロチップは、装着したままではその効果は発揮できません。時々間違われる方もいらっしゃいますが、マイクロチップにGPSの機能はありません。例えばスマホのアプリなどで追跡が可能!!というものではありません。

効果を発揮するのは、保護先(動物病院、保健所、警察署、動物愛護施設など)で読み取り機(リーダー)を使ってマイクロチップの15桁の番号を読み取り、その番号をデータベースに照合する事で、そこで初めて「〇〇さんの家の△△ちゃんか。それじゃあ、登録されている自宅番号に電話してお迎えに来てもらおうね」という事になります。

つまり、『マイクロチップを装着すればOK!!』ではなく、

『装着した上でしっかりとデータベースに登録しておけばOK!!』、とこういう事です。

ではでは、データベースへの登録ってどこでやるのかしら?

ここで、皆様に覚えておいていただきたい重要なことがあります。

マイクロチップのデータベース登録先には、今現在、主に2つあるという事です。

1つ目は、『AIPO(動物ID普及推進会議)』

2つ目は、『FAM ~Family association of management~(ファミリーID管理機構)』という団体です。

AIPOは、日本獣医師会が運営している団体です。マイクロチップのデータベースの先駆けとなり、現在では当院も含めてこちらへの登録が一般的となっています。登録件数も後者に比べると圧倒的に多いです。

FAMは主に特定のペットショップさんから購入された患者様に多くみられますが、AIPOに比べると登録件数は少なく、またこの団体さんの認知度がAIPOに比べるとまだ高くありません。

『マイクロチップの登録=AIPO』という認識が開業獣医師や各行政などでは前述の通りに一般的なので、FAMという団体をそもそも知らないという事もあり得ます。(※私も、FAMという団体を知るようになったのは3~4年前です)。AIPOとFAMはデータベースが共有ではない為、それぞれに登録する必要があります。

AIPOに登録→AIPOで照会→OK

AIPOに登録→FAMで照会→NG

FAMに登録→AIPOに照会→NG

FAMに登録→FAMに照会→OK

例えば...当院に迷子のワンちゃんが保護されてきたと仮定します。マイクロチップがあれば番号を確認して、先ずはAIPOに問い合わせます。AIPOにデータがあれば、飼い主様に連絡してお迎えに来てもらいます。AIPOにデータがなかった場合は、FAMに問い合わせます。←重要な点はここです。FAMを知っていればそちらも検索かけますが、知らない場合は『マイクロチプはあるけども、登録手続きをしてない子なのかな』と考えてしまうケースもあり得るという事です。

マイクロチップをせっかく装着しているのであれば、もしもの時にしっかりと役立ってもらわなければなりません。

その為には、ご家族の子が装着しているマイクロチップの登録先がどこになっているのかをしっかりと確認しておいてください。AIPOに登録済みであれば問題がないですが、もしもFAMだけであった場合にはAIPOにも登録手続きをする事をお勧めします。

手続きにつきましては病院へお問合せ下さい。当院ではAIPOへの登録を行っております。

KIMG1484.JPG



🐈猫ちゃんの慢性歯肉口内炎


猫ちゃんに多い病気の1つに、慢性の難治性歯肉口内炎があります。

この病気は犬にはあまり多くはなく、ほぼ猫に特有なものとして見られます。

年齢と共に歯石の付着が多くなり、口腔内の環境が崩れてしまう事で歯肉炎や口内炎が見られる事は人も犬も猫も同様に見られます。しかし、猫の場合には年齢を問わずに治療に反応の乏しい慢性の口腔内炎症が良く見られます。

原因はウイルス感染、細菌感染、免疫の異常、栄養不良、食事内容の偏り、慢性腎臓病、ストレス、体質(遺伝的な要素)などの複合的なものが考えられています。

多くの場合は3~4歳以降で徐々に症状が見られてくる事が多いですが、それよりも若い年齢で病状が見られる事もあります。

症状は、食事をする際の痛みや食欲の低下、口臭がきつくなった、涎が多くなった、歯ぎしりのようなギシギシという音がといたものがあります。病院に来院されるキッカケの一番多いものは、食事の際の痛みが顕著になったという症状です。

食事のたびに痛みを感じると、食事する事=痛い事と思うようになってしまい、食欲の低下から更なる病状や全身状態の低下に繋がってしまいます。

慢性の歯肉口内炎の場合、先ずはその状態を確認するところから始まります。

原因が腎臓疾患や食事性などの場合には、それらを治療していく事で口腔内の環境が改善していくことが期待できるためにそちらを優先します。

しかし、慢性の歯肉口内炎として他の疾患の関与が乏しかったり、原因が明らかでない場合には下記の治療を行っていきます。

症状が軽度~中程度であれば、消炎剤や抗生剤といったお薬や、口腔内の環境を整えるサプリメントなどを併用した内科治療を行います。炎症が強い場合には一時的にステロイド剤を用いる事もあります。投薬治療は長期に及ぶことが多い為、抗生剤やステロイド剤などの長期使用にはマイナス面もある為に、投薬による弊害も考慮しなければなりません。

しかしこうした治療でも改善が見られなかったり、投薬による弊害が問題となってきたり、或いは既に内科対応の域を超えてしまっている病状の子には、外科的な処置を行う必要があります。

慢性の難治性歯肉口内炎の外科的な治療には、『全臼歯抜歯』と『全顎抜歯』があります。

抜歯をする事で歯肉炎の発生・症状をコントロールする治療法が確立されています。

『全臼歯抜歯』の場合の改善率はおおよそ50~70%、『全顎抜歯』の場合は90%程といわれています。

歯肉炎=全部を歯を抜けば治る、という事では決してありません。これらの治療を行っても改善しない例は少なからず存在します。また体調、歯や顎の骨の状態によっては施術ができないという場合もあるので、状態を見ながら治療方針を検討する必要があります。

さて、今回は2頭の猫ちゃんの実際の抜歯をしたケースです。2頭とも、以前より歯肉口内炎が認められており、症状の強い時にはお薬を服用する事である程度の症状の軽減は見られたものの、治る事はありませんでした。それでも飼い主様と一緒に何とか食事の形状や内容を手を変え品を変えでやってきましたが、やはり口臭や摂食時の痛みが目立ってきた為に、術前検査を実施した後に抜歯処置を行う事になりました。

スライド2.JPGスライド1.JPG

どちらの猫ちゃんも、既に脱落していた歯も数本ありましたが、共通しているのは奥歯の炎症が非常に強かったという事です。食べ物がこの炎症部分に当たると、痛みは相当あったと思いますが我慢強かったのでしょう。

猫ちゃんは歯磨きをなかなかさせてくれない事が多く、また口の中を覗かせてくれるのも難しい場合がワンちゃんと比べて多いのでご自宅で口の中の様子をうかがい知ることは難易度が高いでしょう。初めの方に記載させて頂いた、歯肉口内炎を疑うような症状が見られた場合には、先ず受診をしていただいて、その状態の把握からスタートしましょう。



アクセス

鶴川街道、「市立博物館入口」信号近く

うぇる動物病院

Pあり

病院敷地内に3台駐車スペースがございます。
駐車場内でのトラブルは責任を負いかねますのでご了承の上ご利用ください。

うぇる動物病院駐車場