院長ブログ

✄自宅での毛刈りの際はご注意を✄


わんちゃんねこちゃんともに、長毛の子は定期的なブラッシングやカット・トリミングを行わないと、その毛並みが乱れてしまったり、そのままにしておくと毛玉に...もっとそれが進むと、フェルトの板状の毛玉になってしまったりしてしまいます💦

定期的なブラッシングはコミュニケーションツールとしても、日々の健康チェックとしても非常によい習慣です。

しかし!上手にさせてくれる子もいれば、なかなか受け入れてくれない子も当然ながらいます(うちの猫もそのタイプ...)。

嫌がる子を抑えつけてまでブラッシングをしてくださいとは勿論言いませんし、むしろそれはやらないで下さいね。

ある程度長めの時間させてくれるならばそれに越したことはないですが、苦手な子も10秒程度、オヤツなどのツールを使いながらなだめつつ&誤魔化しつつでも、定期的なブラッシングを少しずつでもエリアを分けて行ってみて頂きたいと思います。

さて、今回の事例はまさにそんな、なかなかブラッシングをさせてくれなかった猫ちゃんの一例です。

長毛種の猫ちゃんですが、ブラッシングをしようとすると逃げてしまうとの事でなかなかさせてくれないという子のようでした。

ある日、飼い主さんが撫でていると毛玉が出来ていることに気づかれて、非常に硬い毛玉だった為に解す事ができず、ハサミを使って毛玉を切られたそうです。

それから2日後...飼い主様から、脇の下にまだ毛玉が残ってるから切って欲しいという事で来院されました。

はてさてどんな毛玉かしらと確認すると...(ちょっと写真は加工しています)

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(写真は処置時の様子なので、毛刈りをした後の写真となりますが)毛玉ではなく、実は先日のカット時に誤って皮膚ごと切ってしまっており、その皮膚の一部を毛玉と間違われてしまっていたのです。周囲の毛を刈ると、結構広範囲に切ってしまっていたことがわかります。

この子は我慢強かったのか、その時は特にギャッという事もなかったようで、飼い主さんもまさか切っていたとは思わなかったようです。

...実は、反対側も同様だったのです😿

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幸いにして、化膿はしておらず、傷口の処置後は縫合を行い、10日後には抜糸を行って治癒しました。

毛玉をハサミで切ろうとして皮膚まで切ってしまうという事故は、この子だけでなく今年は数件見られています。耳、肉球、お腹や背中の皮膚...。何れの場合も、"ハサミだけで、毛玉をつまみ上げて切る"という場合に生じています。

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(図に関するツッコミは一切受け付けません😢60秒で仕上げたものなので、縮尺とか適当なので💦)

注意しなければならない点は、毛玉を引っ張り上げると、根本の皮膚も同じように引っ張り上げられるということです。

そしてそのままハサミを入れて切ってしまうと皮膚も一緒に切ってしまうという事になります。

これを防ぐためには、≪必ず『くし』『コーム』を毛玉の下に入れてから、くしの"上"を切ること≫、です。

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こうする事で、誤って皮膚を切ってしまうことは避けられます。

毛玉を根元からしっかりと切ることはなかなか難しく、あまりに頑固なものはバリカンを用いて根こそぎ刈らないといけません。

そういった事態にならないために、少しずつでも普段からのブラッシングをお願い致します。



猫ちゃんの異物に因る腸閉塞の一例 2022/03


ケースブログとしては、猫ちゃんの異物による腸閉塞が続きますね💦

猫の場合は紐やオモチャのパーツなどが上位となります。

今回の子は、3日ほど前にお家で飼い主さんとオモチャで遊んでいた際にオモチャの先端部分を壊してくわえてしまった所を回収しようとしましたが。そのままモゴモゴと飲み込んでしまったとの事。

来院前日の夕飯時より、食後すぐにまとまった量の嘔吐が見られ、同症状が翌朝(診察当日)にも見られたとの事で受診されました。

猫ちゃん自身は、食べたい気持ちは強く、そして活動性も普通な様子。吐いてしまう以外の症状は一切なし。

問診の時点で、異物による閉塞が濃厚でしたのですぐに確認の検査を行いました。

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X線でお腹を撮影して、気がかりになった点はこの2か所。不自然な空気の溜まり方と、その近くに何やら影らしきもの...?

続いての超音波検査では以下の画像が見られました。

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青い線が腸のアウトラインになります。オレンジ色の部分が怪しい影の部分。黄色は、この怪しい影の手前に停滞している腸の水分等です。

画像検査より、典型的な異物の閉塞が確認されましたので、この後に麻酔前の検査を実施して問題が見られませんでしたので、大きな体調の悪化が見られていない現状ですぐに手術に進むことになりました。

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こちらは閉塞している部分になります。腸の中にみっちりと閉塞してしまっており、本来であればぐにゃぐにゃの腸が「ぼわっ」としていて固そうな様子が見られます。

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これが閉塞していた異物です。問診でうかがっていた、オモチャ(猫じゃらし)の先端部分でした。

今回のケースでは、経緯が明瞭だった事、症状の出現からすぐの来院だった事、診断→手術までの時間がすぐだった事などの複数の好条件が重なり、腸管へのダメージがほとんどなかった事が幸いでした。

惜しむべき点は異物を飲み込んでしまったその日に受診ができていればというところですが、しかしそれ以外の飼い主様の対応は迅速でしたので、術後の猫ちゃんの回復は非常に早く、入院中でも猫舎内を悠々自適に過ごしておりました(外来時間外のみですが)。

閉塞の原因となったオモチャのパーツですが、今回の猫ちゃんの場合は遊ぶ際の力が強かった為に壊れてしまったという事が不運な点となります。オモチャの出しっ放しなどはお止め頂きたいですが、それとは違うケースなので予測は不可能です。

退院時に飼い主様にお話を聞いたところ、オモチャはホームセンターのペットコーナーにあるものを買ってきたものでした。偶々、そのお店に直前に別件の買い物で立ち寄っており該当するオモチャコーナーを覗いてきたばかりでした。

正直なところで申し上げますと、陳列されているオモチャ類の半分以上は「この形は危険だな」と思うものでした。

どんなオモチャならば絶対に大丈夫なのかという事を申し上げるのも難しいですが(レーザーポインター系は飲み込むという危険は皆無ですね)、こと異物閉塞を危惧するのであれば、紐の先端に小さなぬいぐるみが装着されているものや、ぬいぐるみ以外でも鈴やビーズのような装飾品が付いているものなどは遊んでいる最中に取れてしまい飲み込む可能性がある為にオススメできません。

よくある形のオモチャなのですが、そういった形のものであれば、紐はしっかりとしており(裂けて細くなるような材質の紐は避けましょう)、先端のパーツとしっかり固定されて、且つ先端パーツは細かい装飾パーツのついていないようなものを選んで頂きたいなと思います。......オモチャとしての可愛げは大分なくなってしまいますが...💦



こうでありたい!!と思った、高齢ワンちゃんの歯の処置例


当院ブログおなじみの歯の話題です。

また歯ですか?というツッコミは飲み込んでいてくださいね😅

今回のワンちゃんは15歳以上のご高齢の子です。以前より、歯の一部に欠けてしまっている部分があり、その周辺にも歯石が多かった為に歯髄などへの感染が懸念としてありました。歯石に覆われてしまっていた為、外観からの正しい評価が難しいものでした。

当院で実施している秋の健康診断をご利用頂き、その健診結果でもって麻酔は可能な状況と判断し、また別件で麻酔をかけての処置が望ましい事がありました為に、ご相談の結果、麻酔下での歯の処置を行うことになりました。

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歯のX線を撮影しましたところ...おぉ?ほとんどの歯が残存している...!!そして、歯の根元部分もほとんどがしっかりしている...!!

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実際の歯の状態の写真となります。歯石の付着は全体的に見られますが、年齢を考慮すると同年代の子に比較すると少な目な印象です。

そして何より、歯と歯肉の境界部分の赤み(歯肉炎)の所見が非常に軽微!!そして歯肉の退縮も見られません。

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上の二つは、近い年代で同じ犬種の子の処置時の様子とX線ですが、比較すると歯石の程度や歯肉の充血、X線での歯の透け具合などの違いがお分かりいただけるでしょうか。

実際の処置では、欠けていた部分はごく軽度で歯髄に影響が見られず、また歯肉炎などの所見もほとんど見られませんでした。また、全体的な歯石付着は見られていたものの歯周ポケットなどの隙間もほとんどの歯で見られませんでした。

結果!!抜歯する事を前提に飼い主様にはお話をさせていただいておりましたが、

よもやよもや!!(これを言いたかった)

抜歯0本という結果でした。正直、この年齢世代の子で、全く抜歯を行わなかったケースは当院では非常に珍しい例でした。

特別なデンタルケアや処置を今までしていた子ではなく、日常的な範囲でのケアを行っているぐらいとの事でした。むしろ、歯みがきはやらせてくれないという事でした。

今回のケースに関してはワンちゃん自身の体質(歯質・口腔内環境)が大半の要因を占めていると思われます。人間の場合で言えば、虫歯になり易い人とそうでない人との違いと似たものです。

歯周病になってしまう場合は、体質・食生活・ケアの有無・基礎疾患などなど様々な要因が関与してくるものですが、今回の子のようにご高齢になっても歯がしっかりと残っている状態を頑張って目指していきたいものですね。



🐄→🐅2021年、大変お世話になりました🐮→🐯


本日にて、当院の年内の診察は最終日となります。

12月31日(金)~1月3日(月)までは、休診とさせて頂きます。

年明けの診療は 1月4日 火曜日からとなります。

今年も一年間、皆様には大変お世話になりました事、厚く御礼申し上げます。🙇

2022年も、うぇる動物病院をどうぞ宜しくお願い致します。🐯

コロナ禍続く2年目となった2021年でした。2022年もコロナ禍は続き、3年目となってしまいます。

感染爆発、医療崩壊...そういった事態が現実となってしまった年でした。しかし、ワクチン接種の普及と、コロナ対策の生活様式の継続により世界の中でも日本は劇的な感染者数の減少となっています。その理由は未だに明らかとなってはいませんが、この素晴らしい結果を継続して世界に示していきたいものですね。

コロナに負けず諦めず!!頑張っていきましょう!!

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腸閉塞(ゴム片)の猫ちゃんの一例


前回に続き、猫ちゃんの異物による腸閉塞です。

今回の猫ちゃんの閉塞の原因はゴム片でした。詳細に何のゴム片だったかはわかりませんが、パズルマットや滑り止め等の一部ではないかと想像しています。

前日からの食欲低下と複数回の嘔吐を主訴に受診されました。

初日での診察、レントゲン検査では原因がはっきりとは判別ができずこの日は対症治療のみでしたが、翌日以降も食欲不振が改善せず、再診時に改めてレントゲン検査と超音波検査を実施すると、その時には初日では見つけることのできなかった"閉塞"を疑う所見が出てきました。

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レントゲン画像では、初日と比べると腸の中に空気(黒い筒状)の貯留が明らかに増加していました。

よく見ると、少し怪しい影も...?というところでしたが、レントゲンでは確定ができなかった為に超音波検査へ。

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腸の一部分の超音波検査画像ですが、前回の糸での閉塞の猫ちゃんは超音波検査でも断定ができなかったのでバリウム造影検査も実施しましたが、今回の猫ちゃんはこの画像から異物閉塞が断定できました。

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赤線の部分が異物です。この画像の前後の腸の関係性もありますが、この所見にて異物閉塞を断定し、血液検査、術前輸液を実施した後に手術を即日実施致しました。

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(画像の色調を加工しています。)線で囲った腸の部分が不自然な形状をしており、また触ると内部に固い物がガッチリとはまっています。

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これが閉塞の原因です。長さは3cm程です。

摘出直後は胃酸などの影響で表面は固くなっていました。洗浄して正体を確かめると、弾力性があり、ゴム片と判明しました。

数年前にパズルマット片で閉塞を起こした猫ちゃんの例がありますが、それと類似のケースとなります。

ゴム片が何なのか、そしてどこにあったものかは飼い主様にも不明との事です。

猫ちゃんだけでなくワンちゃんもそうですが、どこから何をもってきて齧っているのか飲み込んでいるのかを全て把握するのは難しいです😢

普段の生活の中で、そういったイタズラしやすいもの・していているもののチェックは日頃から観察して頂くようにお願い致します。



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