2017年10月

11月の診療時間変更日のお知らせ


11月21日(火曜日)

動物取扱責任者講習出席の為、診療時間の一部が変更になります。

午前診察 9:00~11:00

午後診察 17:30~19:00

となります。11時~17時半までのご対応はできなくなります。

ご迷惑をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。

※しかし、雨続きに加えて気温も12月並という日々...秋を感じる間もないほどに迫る冬の気配にげんなりしてしまう気分ですが、そういえば今年はまだ栗ご飯を食べてないぞとふいに思い出し、栗ご飯を食べたい!という気持ちを糧に頑張ります!



~『糖尿病』~ 闘病中のすずちゃん


今回のお話は『糖尿病』です。

人では生活習慣病として耳にする機会が多い病気です。

糖尿病は読んで字の如く、オシッコの中に糖分(尿糖)が排出されてしまう状態です。

以前は成人病の一つにあげられており、食生活や生活リズムの乱れから起こる病気というイメージが強く、結果体型が太っている人(動物)がなる病気と思われがちです。

糖尿病には二つのタイプがあります。インスリン依存型糖尿病(1型糖尿病)インスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)です。

インスリンとは体内において血糖値を下げる役割を持つ唯一のホルモンになります。また体を構成する細胞が糖分をエネルギーとして使う為にはこのインスリンが必要不可欠です。

1型糖尿病とは、インスリンの絶対量が体内で不足あるいは作られなくなってしまった結果によるものです。

原因としてはインスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島というところのβ細胞が何らかの障害を受け、インスリン産生不足を引き起こすことによります。

2型糖尿病とは、インスリン量は体内で少な目かあるいは正常な量があるけれども、インスリンを受け取る側の鍵穴(=レセプター)(インスリンが鍵、受け取る細胞に鍵穴があると思ってください)に問題が生じて、うまく働かない結果によるものです。

原因は遺伝的に糖尿病素因を持っている方が、肥満や生活リズムの乱れなどの要素が加わった結果、発症するものです。

生活リズムの乱れでは2型糖尿病のリスクが高まる事は知られていましたので、太った方がなり易いというイメージは決して間違ってはいません。しかし2型糖尿病は太っていなくてもなる事がありますし、1型糖尿病はむしろ痩せた体型の方の方が発症割合が高くなります。

糖尿病が何より怖いのは「糖分がエネルギーとして使えなくなってしまう」という状態なのです。

糖分がエネルギーとして使えないのは何が問題となるのでしょうか。

動物は体でエネルギーを生み出すために、炭水化物(糖分)、たんぱく質、脂質(脂肪分)の3つを原材料とします。最も効率が良いのは糖分になりますので、真っ先にそれを消費します。エネルギー源としての糖分が少なくなってくると、次に脂肪分を使います。ダイエット法などでこの辺りの話をご存知の方は多いかと思われます。糖質制限ダイエットというものがありますが、糖分摂取を抑えることで体内に蓄積している脂肪分を消費させる割合を増やす、というのがざっくりとした説明になります。エネルギー源の3番手がたんぱく質になります。

体の構成成分で置き換えると、糖分は食事から得た血液中の糖分であったり肝臓や筋肉などに予備貯蔵されてる糖分、脂質は皮下脂肪や内臓脂肪、たんぱく質は筋肉、となります。

糖分(以下、血糖と言い換えます)はそのまま血液の中をぐるぐる回っていてもエネルギーとしては全く使えません。この血糖を利用するためには、インスリンが必要不可欠です。

糖尿病では、このインスリンが働かなくなってしまいます。その結果、血糖をエネルギーとして使えなくなってしまいますので、体は脂質やたんぱく質をエネルギーとして使い始めます。

しかし、元々予備の予備的なエネルギー用途としてしか想定されていない内臓脂肪や筋肉ですから、使えなくなった血糖の代替となるには役不足です。(例:電力を生み出す主体の火力発電が使えなくなった場合、水力や風力発電などで電力消費を支えられますか?というところです)

結果として、急ごしらえのエネルギー事情は別の問題を引き起こします。

脂肪分を急激に分解する為に肝臓に著しい負担がかかり、脂肪肝になることもあります。

筋肉を分解すると副産物としてアンモニアなどの有害なものができてしまい、それもまた肝臓や他の臓器に負担をかけてしまいます。

脂肪やたんぱく質を分解すると、「ケトン体」という物質が出来てきます。このケトン体というものが血糖に代わるものになるのですが、しかしこのケトン体も悪影響を与えるものになります。

◎糖尿病でインスリンの効果が出ない⇒血糖が高いままになる⇒尿糖として排出される

◎血糖をエネルギーとして使えない⇒脂肪と筋肉を分解する⇒体が痩せていく

◎脂肪と筋肉からエネルギーを作り出す。ケトン体が増える⇒臓器に負担がかかり、多臓器障害を起こす

これが糖尿病の重症になってしまう流れです。

犬では1型糖尿病が、猫では2型糖尿病がそれぞれ比べると多いです。

糖尿病の治療にはどちらのタイプであっても、インスリンの投与が絶対的に必要です

その他にも経口血糖下降薬、食事療法やサプリメントなどの使用もありますが、インスリンの注射を行わない限り糖尿病の治療は非常に困難です。しかし治療を経る中で、インスリンの投与を必要としなくなるケースはあります。

糖尿病の難しい所は、完治する事はなく、基本的には終生インスリンの投与や食事療法が必要な点と、定期的に検査を行ってインスリン投与量の適宜見直しや血糖値推移をみていく必要性があります。

そんな糖尿病と現在進行形で闘っている、すずちゃんです。

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...すずちゃん、決してめちゃくちゃ怒っているわけではないんです。大人しくていい子なんです(;´・ω・)

では何故に耳を伏せてムスッとした感じなのかというのは・・・それは検査で採血した後なので、さすがにチクっとした後に「ニッコリ、はい、チーズ☆」とはいかないですよね。院長が写真撮影タイミングを間違えた結果です💦

今年の7月に重篤な症状で来院され、検査結果から糖尿病が確定し、入院治療を経て見事な回復力を見せてくれて、今現在は定期的な検査で通院して頂いております。糖尿病タイプは1型でした。

糖尿病の治療はやはり長期的になってしまう為にすずちゃん自身にも負担がかかりますが、インスリン投与や食事・生活状況を管理監督する飼い主様にも負担はかかってしまいます。飼い主様のご協力とすずちゃんの頑張りのおかげで、ご自宅での経過管理をさせてもらっています。

この日は血糖値の管理の為に日帰り入院で2時間毎に採血される為、写真のような表情になってしまった次第です。来院直後はムスッとしてない表情だったので、次回はその時に改めてお写真を頂戴しようかと💦

すずちゃんもまだ血糖管理が安定化しているかというと、そうではありません。しかし入院治療をしなければならないようなひっ迫した状況ではないので、ストレスの無いご自宅で過ごしながら治療をしています。

まだまだ検査とかで色々とあるけども、一緒に頑張っていこうね、すずちゃん!!



また来てね、茶々丸ちゃん!長期間ホテルお疲れさまでした♪


飼い主様のご事情により、7月から約3か月間、当院にホテルとして滞在していた柴犬の茶々丸ちゃん。

先日、飼い主様がお迎えにいらっしゃいました。飼い主様も早く茶々丸ちゃんと一緒に過ごしたくて、お互いに嬉しそうな様子でした。

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自宅に帰る直前の茶々丸ちゃんです。

当院も茶々丸ちゃんがいるのが当たり前のようになってしまっていましたが、いざ帰宅の時を迎えると少し寂しく感じますね(笑)

茶々丸ちゃんも病院の自分がいるお部屋は既にもう「自分用」と理解しているのか、外の散歩から帰ってくると寄り道せずに一直線に部屋に入って休憩。その迷いのない足運びにちょっと笑ってしまいます。

どうしても一日のほとんどをお部屋の中で過ごさざるを得ないので時間を持て余していたとは思いますが、いたずらしたり吠えたりなどは全くせず、非常にお利口さんに過ごしてくれました。

ホテル中には飼い主様のご理解を頂き、輸血ドナーとしても活躍してくれました。大変感謝しております。

皮膚トラブルを抱えてしまっているので、今後も度々顔を出してくれると思います。

またホテルで来てくれる日を楽しみに待っています♪

久しぶりの我が家(飼い主様のお家ですが)、堪能しているのかな(^^

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皮膚にできたイボから出血が・・・ という例   ~形質細胞腫~


今日は、数か月前より顎下にできものがある、という子のお話です。

飼い主様が最初に気づかれたのは半年程前になり、その時は小豆サイズくらいのできものが顎下に1か所できたなというものでした。

特にワンちゃんが気にする事もなければ、ご自宅で見ている限り大きくなる事もなかったので様子をみていました。

少しそのできものが大きくなってきて、表面を擦ってしまって出血しているのことで受診されました。

大きさは1cm大くらいの皮膚腫瘍と思わしきものがあり、掻き壊してしまったかタオルなどに擦り付けてしまったかのようで表層から多少出血しておりましたが、大事に至るものではありませんでした。

外観と経過からできものは皮膚腫瘍と疑い、大きさが小さい内に切除兼病理検査を行う事になりました。

元々飼い主様のご希望として歯石処置がありましたので、その際に同時に行うことになりました。

半年ほど前から存在し、ここ最近大きくなってきたので、では切除しましょうとなった手術当日。

再度できものの大きさを測ってみると、半分ほどに...。1週間前の手術前検査時からいきなり小さくなっていました💦

とはいえ歯石取りも今回は同時に行う予定でしたので、麻酔を実施したのちに歯石スケーリングと皮膚腫瘍切除を行いました。

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下顎にある腫瘍の切除前です。大きさは特に問題にはならないサイズですが、御覧のように中心部が糜爛といって外傷起因もありますがただれてしまっています。少し擦れてしまうとじわぁぁぁぁという出血が出ては止まってを繰り返すような感じでした。

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切除した病変です。周囲組織も少し含めて切除してあります。

病理検査では良性の皮膚腫瘍である「形質細胞腫」でした。

形質細胞腫は犬に多く、猫では少ない皮膚腫瘍です。一般的には中高齢で発症し、若齢ではあまり見られません。

口周囲、肢端、体幹部、耳介などに発生する割合が多いです。この腫瘍の細胞形態によってはリンパ腫などの悪性腫瘍と混同してしまう事もありますので、検査によって怪しい場合は小さい内に切除する事をお勧めします。

これと外観が似たもので「皮膚組織球腫」という腫瘍があります。若齢または6~7歳以降に見られることの多い良性の皮膚腫瘍で、若齢でも見られる事が形質細胞腫との違いの一つになります。

この腫瘍、"無治療で自然と退縮"していく可能性がある腫瘍なのです。最初は少しずつ大きくなりますが、ある程度まで大きくなるとそのままになり、2~3か月かけて次第に小さくなって最後は消失するというものです。勿論全部が素直に消えてなくなってくれるわけではなく、小さくならずに居座り続ける奴もいますが、皮膚組織球腫であった場合には先ずは経過を見てから外科的介入の判断をします。

外観上で区別がはっきりとはつきませんので、通常は細胞診という検査を行って判断いたします。

今回のワンちゃんは麻酔を別途実施する予定がありましたので、細胞診という検査を行わず、切除した組織そのものを調べるという方法で行いました。

形質細胞腫は切除によって予後が良好なものです。今回のワンちゃんも切除にて根治が見込まれると思います。

歯の写真はありませんが、お口の中もスッキリとして、当日夜に退院となりました。

お口の中は概ね少量の歯石と軽度の歯肉炎がみられる程度で、口腔内の状態としては大きな問題はありませんでしたが、たった一か所だけ、特定の歯茎のみ他とは異なりダメージを受けている部分がありました。

このように全体として見える部分は問題がなくても、詳しく見てみると普段は見えない場所にトラブルが起こっている事もあり得ます。

定期的なデンタルケア&チェック、是非心掛けていただければと思います。



~肛門周囲腺腫の一例~  未去勢のワンちゃん


今回は「肛門周囲腺腫」という病気のお話です。

この病気は"未去勢の中高齢の犬"に特に多く見られる病気です。

肛門の周りには、皮脂(脂分)を分泌する肛門周囲腺という分泌腺が存在します。

この分泌腺が腫瘍化し、増大してしまったものが肛門周囲腺腫です。

良性の腫瘍ですが、巨大化すると排便に支障をきたしたり、自壊(腫瘍が傷つくこと)して出血が持続的に続いたり、その部分に感染を引き起こしてしまうと事態は深刻化してしまいます。

この病気の発生と進行には男性ホルモンが大きく関与しています。男性ホルモンの影響を受けている期間が長いほど、発生のリスクは高まってきます。ですので、若い年齢の子での発生はほとんどありません。多くが7歳以降に見られます。稀にメスにも発生する事があります。

同じ部分に同じように発生する腫瘍では、肛門嚢アポクリン腺癌というものがあります。こちらは悪性腫瘍で、周囲の組織に浸潤・転移する恐れがあります。この肛門嚢アポクリン腺癌は男性ホルモンとの関連性は無く、オスだけでなくメスにも発生がみられるものです。

以下は実際の肛門周囲腺腫の例となります。

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当院に来院されたワンちゃんの一例です。主訴はお座りした時に床に血液が付着するというものでした。

尻尾を持ち上げてみてみると、肛門の直下にできものがあり、その表面が脆い為に擦れて容易に出血してしまうという状況でした。

またそのできものの斜め下にも小さなしこりがあります。こちらは出血はしておりませんが、触ってみると皮膚の下にしこりが存在していました。

検査状況から肛門周囲腺腫と診断しました。

このワンちゃんは未去勢でしたので、病気の背景としては一致します。ただし年齢は7歳未満でしたので、やや早めでの発症という事になります。

治療方法としましては、腫瘍の切除と同時に去勢手術を実施しました。

腫瘍が大きくなってしまうと、その分切除しなければならない部分も大きくなります。肛門周りは非常にデリケートな部分の為、大きく切除する際に筋肉も切除しなければならなくなってしまうと、術後の排便に影響が出てしまう可能性があります。ですので、腫瘍がなるべく小さいうちに切除する事が大事です。

また、去勢をせずに睾丸を残してしまうと、切除した以外の分泌腺が将来腫瘍化してしまうリスクが高いままになってしまいますので、治療兼リスク回避の為に必ず去勢も実施します。

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手術前の状態です。消毒の際の物理接触程度でも出血しているのがお分かりいただけるかと思います。

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切除した腫瘍です。腫瘍の周囲も含めて切除しますので、実際のできものよりも大きく切り取る事になります。術後は汚れやすい部分ですので清潔に管理して頂く事と、噛んだり舐めたりしないように傷口保護(エリザベスカラーの装着)をしっかりとする必要があります。このワンちゃんは術後、縫合した部分に問題が生じましたが、飼い主様のご協力を得て治療を実施し、治癒しました。

切除した腫瘍はやはり肛門周囲腺腫でした。

今回はあまり腫瘍が大きくならない内に来院していただき、治療を実施した例となります。

去勢をすれば100%発生しない、という確約は得られませんが、私の経験上では未去勢のワンちゃんでしかこの病気に遭遇したことはありません。

去勢手術を実施する事で予防、リスクを軽減できる病気は多々あります。今回の肛門周囲腺腫もその一つです。病気は未然に防ぐことが最も有効ですが、仮に病気が発症してしまった場合には早期に受診し、治療をご相談したいと思います。



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