2020年2月

帝王切開を実施した一例


今回は、先日に帝王切開を実施した例となります。

繁殖をされている方がお連れいただいたトイプードルの子ですが、過去に3回の妊娠を経験しており、そのいずれもが帝王切開による出産だったようです。毎回妊娠するのは1頭のみだったようで、お腹の子が大きくなりすぎて自然分娩はできなかったようです。

今回連れてきたもらった当初は妊娠診断でしたが、今回も1頭のみの妊娠でした。

過去の履歴から、通常の出産予定日を考慮して、計画的帝王切開を実施する事にしました。

幸いにも帝王切開予定日当日に母犬の体温が低下する、出産前の兆候がちょうど見られた為にタイミングとしてはバッチリでした。

手術準備をして、母犬の負担が少ないよう直前までは自宅で待機しててもらい、準備ができたら来院していただいて即座に手術前検査と処置を行います。

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手術前のレントゲンでは、お腹の子は事前検査通りに1頭のみです。

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骨盤の大きさと胎子の頭の大きさを測定すると、やはり自然分娩は不可能でした。

通常の手術と同様の麻酔ではお腹の中の子が眠ってしまい覚醒が悪くなってしまう為、異なる麻酔の組み合わせで手術を行います。

既に数回の帝王切開を実施している子でしたので、子宮には複数個所の過去の手術後の治癒過程で生じた癒着の痕跡が多数見られ、それらを少しずつ剥離しながら子宮を腹腔外へ引っ張り出し、胎仔を摘出しました。

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摘出後はスタッフに胎仔を預け、自分で呼吸ができるようになるまで温め、酸素補給し、刺激を与えて自発を促します。「うみゃー」と声上げたら一先ずは安心。写真は産声を上げた後の子犬の様子です。(母犬はまだこの時は別室で手術中)

手術が終わり、母犬が麻酔から無事にさめたところで子犬のチェックです。

今回誕生したこの子には、先天性二次口蓋裂が認められました。口蓋裂とは、口の中の上あごに隙間がある為に鼻と口が連絡してしまう奇形の事です。この障害があると、うまく哺乳する事ができないために成長不良や誤嚥性肺炎を起こしてしまう事が多く、通常の飼育では生存が困難です。チューブを使って直接ミルクを投与するなどのお世話をしてあげないと早期に亡くなってしまいます。隙間を塞ぐ手術はある程度大きくなってからでないとできない為、その月齢まで頑張って欲しいと願います。

来院から手術、母犬が覚醒してからしばらく様子を見て、その後帰宅して自宅で様子を見てもらう事になります。病院滞在時間は約3時間の出来事でした。



肢端に発生した悪性腫瘍の例


今回は、肢の指に発生した腫瘍の一例になります。

数日前から左前肢の跛行の症状が見られていたとの事で来院されました。

診察をすると、左前肢の小指の先端が著しく腫れています。腫れているので、この足を地面にぐっと負重をかけると痛くなってしまっていたのです。

指先の腫れには爪のケガからの感染や皮膚炎などからの化膿も多いですが、今回のケースでは外見上の第一印象から何となく悪い予感がしていました。

レントゲンを撮ると

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小指の部分が腫れているのがお分かりいただけるかと思いますが、問題はその部分にある指の骨が融けてしまっている事です。爪を支える骨は既に無くなってしまっています。

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こちらは反対側、正常な右側となります。比べると骨が融けてしまっているのがわかります。

レントゲン結果から悪性腫瘍によるものと判断し、幸い他の指にはまだ影響が及んでいないと考えられましたので早期の外科的な介入を相談させて頂きました。外科的な介入といいましても、その方法は問題となっている指を切除する手術です。有るものが無くなってしまうという事はなかなか決断がしにくい事だと思われますが、放っておくと更に拡大あるいは遠隔転移してしまう恐れもあります。

この日は手術の決定には至らず、飼い主様にはしばしお考え頂く事になりました。

後日、手術の実施を決断していただき、問題の小指の切除を行いました。

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上は手術当日のレントゲンです。最初の撮影から約10日程経過していますが、骨の融解が進行しています。

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手術にて、小指を腫瘍ごと切除して縫合しました。

ワンちゃんの足の指は、親指を除いて、4本の指の中央2本が主に体重を支える指(中指と薬指に該当)となります。今回は小指となりますので著しい歩行障害にはならないですが、それでもしばらくの間は歩行に違和感は見られてしまうでしょう。

今回の腫瘍は、犬で指先に発生しやすい悪性腫瘍の扁平上皮癌でした。当初からこちらの腫瘍を疑っていましたが、検査結果からは扁平上皮癌の他に悪性黒色腫も存在していました。手術マージンは確保されており、術前検査で遠隔転移の所見も見られませんでしたが、今後も転移・再発に対する経過観察は必須となります。



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