院長ブログ

皮膚腫瘍(肥満細胞腫)のワンちゃんの一例


今回は、皮膚に発生した腫瘍の一例です。

飼い主様が後ろ肢に小さなイボができていることに気づき、気になるので念のためという事で受診されました。

飼い主様が気づかれる1週間ほど前にトリミングサロンさんにてシャンプーをしてもらったとの事ですが、その時点では特にご指摘はなかったという事でした。

ワンちゃん自身が気にしたりする様子もなく、いつからあったのかはわからないということです。

実際に診させていただくと、右後肢の大腿部に1cm程の円形の皮膚腫瘤が形成されていました。

中高齢以降のワンちゃんには皮膚にイボ状のできものが形成されてくることが多くあります。そのほとんどが良性のものではありますが、中には悪性のものが潜んでいる事も当然ありえます。外見から良性悪性の判断ができることはなく、目安としての良性悪性の所見はありますが、やはり検査を行わないと正体を掴む糸口は難しいものがあります。

今回のできものは「(いつからか不明だけども)短期間で目立ってきた」「やや赤みを帯びていて、固さがある」という点がお互いに気になる箇所となり、針生検という検査を実施致しました。

針生検とは、できものに対して注射針を刺し、そのできものを構成している細胞の一部分を採取して標本を作製して顕微鏡で確認する検査です。組織を採る方法が簡便で、できものに対しての検査では一般的に行われるものです。

採取した細胞を顕微鏡で見るために染色という過程を経るので、これが時間がかかってしまいますが、検査に対する動物の負担は少ない方法となります。

そして、検査を行い採取された標本がこちらです。

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これは肥満細胞という細胞です。青紫色の粒々を沢山含んだ細胞が数多く見られました(画質が悪くてわかりづらいですね💦)

特徴的なこの所見から、今回の皮膚のできものは『肥満細胞腫』と診断しました。

肥満細胞腫は悪性の腫瘍です。名前から太っている子がなり易いと思われるかもしれませんが、体型は関係ありません。

肥満細胞腫は、犬の皮膚に発生する悪性腫瘍では最も確率が高いものです。

発生部位が限定的なものもあれば、発生部位から範囲を浸潤拡大するもの、遠隔転移していくものなど様々な挙動を示します。

この腫瘍が厄介なのは、上記にあるように周囲への転移・浸潤が強い傾向を示します。ですので、この腫瘍が見つかった場合には基本的には外科的な介入が第一選択となり、範囲が広がる前に切除するのが最善な方法です。

発生部位や健康状態によっては外科手術が適応できない場合もあります。

今回のワンちゃんは検査の結果、右後肢の一部に病変は限局しているようでしたので外科切除をご提案させていただき、即日に手術を実施致しました。

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外観だけ見ると、虫に刺されて赤く腫れちゃったのかな?と思ってしまうかもしれません。

でも実は皮膚が赤くなっている部分は、前日の針生検の時には見られなかったものです。

中央の隆起している部分が肥満細胞腫の本体ですが、針生検の検査を行ったことによる刺激でこのように変化しました。

ということは、一番最初に来院された時は中央のでっぱり部分しか病変が明らかになっていなかったということになります。

なかなか気付きにくいものだと思います。

この赤くなっている皮膚の部分から、問題ない正常な皮膚の部分を余分に確保しながら切除しました。

余分に正常部を切除する理由は、浸潤拡大しやすい点が考慮されるため、腫瘍細胞が存在しない安全域を得るためです。

後日の病理組織検査で、肥満細胞腫が確定しました。腫瘍細胞が周囲に手足を広げている様子はなかったという事なので、今回の切除で経過は良好なものを思われます。しかし、今後も再発には注意してみていく必要性があります。

今回の件は飼い主様が「なんだか気になる」という事で早期に受診してもらった結果、早期治療を行うことができた例となります。飼い主様の直感が冴えわたった件となりました。

先程も書きましたが、中高齢以降は様々なできものが皮膚にできてくることがあります。気になる点があった場合は、迷わず早めの診察にご来院下さい。問題なければそれで良しですが、問題があった場合は早期発見早期治療が大切になります。



口鼻瘻のワンちゃんの例。 歯のトラブルが続いております。


先日の猫ちゃんに引き続き、お口のトラブルの子が続いております。

今回はシニア年齢のワンちゃんでした。

かな~り前から犬歯の片方がグラついていたのですが、それでも食事を食べることはできていて、時々歯に当たったかな?という際に気にする素振りが見られていたということでした。

歯(または歯茎)が痛んできて歯がグラグラしてきても、結構な割合で動物は食事を摂ることができます。人間であればなかなか考えられないですが💦

素直にポロリと歯が抜けてくれた方が結果的には良いのですが、そこまでグラついてしまってる歯も頑張りすぎて居残ってしまっては困りものです。今回はそんな様子の歯でした。

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これが今回の治療の目標となった犬歯です。長期のダメージで、歯茎が退縮しています。この段階でもグラグラと揺れるのですが、でも簡単には抜けてくれませんでした。

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抜歯した部分を洗浄すると、予想していましたが右の鼻の穴から洗浄液が出てきてしまっています。口と鼻が連絡してしまう、口鼻瘻になっていました。

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抜歯した部分は歯茎の退縮が大きかったので、頬側の粘膜を一部切開して引っ張ってきて縫合しています。

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これは反対側の様子です。歯石は付着していますが、触ったところ揺れてしまうような歯はありません。

しかし、下側の歯の一部に歯周ポケットが深いところがありました。どの歯かわかりますか?

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同じ部分のレントゲン写真です。歯の根元部分が、他と比べて隙間ができています。

この部分はいずれ歯のトラブルを引き起こす事となる為、今回抜歯しました。

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表からは見えない部分にも汚れが付着していますね。

今回は顔が腫れたり、鼻血・鼻水・くしゃみが続くといった症状は特になく、口臭と以前から問題だった犬歯でのご相談でしたが、検査・処置をすることで別の問題点もみつかりました。

何らかの症状が出てきてしまう前に、もしも口臭や歯石で気になってきた際は、一度ご相談下さい。



慢性鼻炎のネコちゃんの例 (口鼻瘻)


最近、歯の疾患でのご来院が増えております。

以前から歯石は気になっていたけども...

口臭が近頃強くなった気がして...

というご相談から歯を診させていただくと、見えにくい奥歯に歯石が多く付着しているというケースが数多くあります。

今回は、1か月ほど前から粘稠性の鼻水がずっと続いている猫ちゃんが来院されました。くしゃみも度々しており、時に鼻水に血が混じる事もあったそうです。鼻詰まりで息苦しい為、食欲も普段の半分ほどに落ち込んでしまっていました。

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診察を進めていくと、口臭と涎が多く見られ、口の中を覗いてみると歯石の付着・歯肉炎が重度に見られました。鼻水が出ている右上側の歯の炎症は強く、この歯が原因と考えられました。

各種検査を実施し、翌日に麻酔下にて歯の処置を行いました。

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☝左側   ☟右側

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歯石を除去していくと、ほとんどの歯は歯茎が傷んでしまっており残存するのが困難な状況だった為に幾本は抜歯を行いました。

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処置途中の様子ですが、鼻水が出ていた右側の鼻の穴が濡れています。これは歯を抜いた後の穴を洗浄すると、その水と血液が鼻に抜けて漏れてきてしまっています。つまり、口と鼻の部分に穴が空いて連絡してしまっていたという事です。

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今回の処置で抜歯した歯ですが、多くが根本にまで歯石が付いています。

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術後は、数日は違和感が残ってくしゃみや少量の鼻血がでるかもしれませんが、鼻水・鼻詰まりが解消して、ごはんもきっと食べやすくなることでしょう。

治りにくい慢性鼻炎は歯が原因だったという事は割と多いです。勿論、鼻そのもののトラブルのケースもありますが、気になる際は早めに受診してあげてくださいね。



当院取り扱いの各種フィラリア等予防薬のご案内


今年の当院でのフィラリア予防薬とノミ・マダニ予防薬には、これからご紹介する下記のものをご案内しております。

どのタイプを使うかは飼い主様と、ワンちゃん・ネコちゃんにお選びいただけるようにしております。

それぞれのお薬には投薬にあたっての利点・欠点がそれぞれあります。

しっかりと予防ができるように確実に投薬できる形のものをお選び下さい。

(とはいってもワンちゃんネコちゃん、巧みに避けたり、気まぐれで食べなかったりはあるかもしれませんが💦)

フィラリアの予防薬投与期間は5月~12月までとなります。

蚊の発生時期よりも一月ほど遅く投薬が開始し、蚊の終息よりもおよそ一月遅くまで投薬が続きます。『蚊がいなくなったので予防終了!!』...ではありませんので、ご注意下さい。

フィラリア予防薬のご案内前に必ず血液検査が必要となります。通年予防をされている方はサービスにて検査を実施させて頂きます。

5月末まで、5~11月までの7回分をまとめてご購入いただいた方に限りまして12月分のお薬は当院からサービスでお付けさせて頂いております。どうぞこの機会にお求め頂ければと存じます。

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以上がフィラリア予防薬のご案内になります。本年より注射タイプの予防薬もご用意致しましたが、こちらは5月末までの処方となりますのでご希望の方はお早めにご来院下さい。

では続きましてノミ・マダニ予防薬のご紹介となります。

こちらには下記2点のご案内となります。

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ノミ・マダニ予防でスタンダードな形の滴下タイプと、ワンちゃん専用となりますがオヤツタイプのものがございます。当院に取り扱いのないノミ・マダニ予防薬(錠剤型)は取り寄せでのご案内となりますが、1箱単位(6回分)でのご購入となりますのでご了承下さい。

その他予防薬に関するご質問がございましたら当院へご相談下さい。



今回はホテル利用いただいてる子達のお写真です


先日したとある会話で、私達が小学生の頃は4月の始業式の時には桜が咲いていたと記憶してましたが、今は春休み中に桜が咲いて始業式の頃には散ってしまっていますよね、という話をしました。言われて思い返せば確かにその通りで、実際に当時の写真には桜が写っています。温暖化の影響で早まったからなのでしょうか。スギ花粉の量も毎年多くなる一方ですし...これは温暖化とは関係ないですかね?💦

今回は4月になってホテルを利用して頂いてる子達のお写真です。

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糖尿病闘病中のすずちゃん、今回はお泊りで来てくれました。いつも病院に来るときは検査の日なので、初日は緊張した様子でしたが2日目からは少し安心したのか、私が前にいっても耳が伏せなくなりました。良かった💦

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オッドアイが素敵なゆきちゃん。お泊り中のオシッコ検査&超音波検査実施後の為、少しばかりムスッとしてる...のかな?お部屋に戻った後はすりすりごろごろでいつものゆきちゃんに早戻り。

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元気一杯のももちゃん。看護師さんを振り切ってカメラに向かって前進!!の図です。お散歩の時間にはやはり「前進!!」で小さいながらに力強く我々を引っ張っていきました。

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もっふもふのタローちゃん。散歩中の姿はもふもふ毛玉が歩いているようで、通り過ぎる人の視線を釘付けにしています。お食事はたまにストライキ起こしたり、諦めて食べたりです💦

お泊りの際に健康診断や各種検査なども行う事ができますので、ご希望の際は申し付け下さい。



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鶴川街道、「市立博物館入口」信号近く

うぇる動物病院

Pあり

病院敷地内に3台駐車スペースがございます。
駐車場内でのトラブルは責任を負いかねますのでご了承の上ご利用ください。

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