院長ブログ

慢性鼻炎のネコちゃんの例 (口鼻瘻)


最近、歯の疾患でのご来院が増えております。

以前から歯石は気になっていたけども...

口臭が近頃強くなった気がして...

というご相談から歯を診させていただくと、見えにくい奥歯に歯石が多く付着しているというケースが数多くあります。

今回は、1か月ほど前から粘稠性の鼻水がずっと続いている猫ちゃんが来院されました。くしゃみも度々しており、時に鼻水に血が混じる事もあったそうです。鼻詰まりで息苦しい為、食欲も普段の半分ほどに落ち込んでしまっていました。

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診察を進めていくと、口臭と涎が多く見られ、口の中を覗いてみると歯石の付着・歯肉炎が重度に見られました。鼻水が出ている右上側の歯の炎症は強く、この歯が原因と考えられました。

各種検査を実施し、翌日に麻酔下にて歯の処置を行いました。

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☝左側   ☟右側

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歯石を除去していくと、ほとんどの歯は歯茎が傷んでしまっており残存するのが困難な状況だった為に幾本は抜歯を行いました。

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処置途中の様子ですが、鼻水が出ていた右側の鼻の穴が濡れています。これは歯を抜いた後の穴を洗浄すると、その水と血液が鼻に抜けて漏れてきてしまっています。つまり、口と鼻の部分に穴が空いて連絡してしまっていたという事です。

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今回の処置で抜歯した歯ですが、多くが根本にまで歯石が付いています。

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術後は、数日は違和感が残ってくしゃみや少量の鼻血がでるかもしれませんが、鼻水・鼻詰まりが解消して、ごはんもきっと食べやすくなることでしょう。

治りにくい慢性鼻炎は歯が原因だったという事は割と多いです。勿論、鼻そのもののトラブルのケースもありますが、気になる際は早めに受診してあげてくださいね。



当院取り扱いの各種フィラリア等予防薬のご案内


今年の当院でのフィラリア予防薬とノミ・マダニ予防薬には、これからご紹介する下記のものをご案内しております。

どのタイプを使うかは飼い主様と、ワンちゃん・ネコちゃんにお選びいただけるようにしております。

それぞれのお薬には投薬にあたっての利点・欠点がそれぞれあります。

しっかりと予防ができるように確実に投薬できる形のものをお選び下さい。

(とはいってもワンちゃんネコちゃん、巧みに避けたり、気まぐれで食べなかったりはあるかもしれませんが💦)

フィラリアの予防薬投与期間は5月~12月までとなります。

蚊の発生時期よりも一月ほど遅く投薬が開始し、蚊の終息よりもおよそ一月遅くまで投薬が続きます。『蚊がいなくなったので予防終了!!』...ではありませんので、ご注意下さい。

フィラリア予防薬のご案内前に必ず血液検査が必要となります。通年予防をされている方はサービスにて検査を実施させて頂きます。

5月末まで、5~11月までの7回分をまとめてご購入いただいた方に限りまして12月分のお薬は当院からサービスでお付けさせて頂いております。どうぞこの機会にお求め頂ければと存じます。

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以上がフィラリア予防薬のご案内になります。本年より注射タイプの予防薬もご用意致しましたが、こちらは5月末までの処方となりますのでご希望の方はお早めにご来院下さい。

では続きましてノミ・マダニ予防薬のご紹介となります。

こちらには下記2点のご案内となります。

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ノミ・マダニ予防でスタンダードな形の滴下タイプと、ワンちゃん専用となりますがオヤツタイプのものがございます。当院に取り扱いのないノミ・マダニ予防薬(錠剤型)は取り寄せでのご案内となりますが、1箱単位(6回分)でのご購入となりますのでご了承下さい。

その他予防薬に関するご質問がございましたら当院へご相談下さい。



今回はホテル利用いただいてる子達のお写真です


先日したとある会話で、私達が小学生の頃は4月の始業式の時には桜が咲いていたと記憶してましたが、今は春休み中に桜が咲いて始業式の頃には散ってしまっていますよね、という話をしました。言われて思い返せば確かにその通りで、実際に当時の写真には桜が写っています。温暖化の影響で早まったからなのでしょうか。スギ花粉の量も毎年多くなる一方ですし...これは温暖化とは関係ないですかね?💦

今回は4月になってホテルを利用して頂いてる子達のお写真です。

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糖尿病闘病中のすずちゃん、今回はお泊りで来てくれました。いつも病院に来るときは検査の日なので、初日は緊張した様子でしたが2日目からは少し安心したのか、私が前にいっても耳が伏せなくなりました。良かった💦

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オッドアイが素敵なゆきちゃん。お泊り中のオシッコ検査&超音波検査実施後の為、少しばかりムスッとしてる...のかな?お部屋に戻った後はすりすりごろごろでいつものゆきちゃんに早戻り。

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元気一杯のももちゃん。看護師さんを振り切ってカメラに向かって前進!!の図です。お散歩の時間にはやはり「前進!!」で小さいながらに力強く我々を引っ張っていきました。

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もっふもふのタローちゃん。散歩中の姿はもふもふ毛玉が歩いているようで、通り過ぎる人の視線を釘付けにしています。お食事はたまにストライキ起こしたり、諦めて食べたりです💦

お泊りの際に健康診断や各種検査なども行う事ができますので、ご希望の際は申し付け下さい。



桜満開!! そして各種予防も本格化です!


寒い寒いという気候から、一足飛びに初夏を感じさせるような気温にまで上昇したことで桜の花もいつ咲こうかというタイミングをずらされてしまったかもしれません。しかし暖かい陽気が続いたことで、桜の花は見事に満開となりましたね。今週末までが見頃のピークとのことでしたので、各所お花見スポットにお出かけされた方も多い事でしょう。

当院の目の前からも桜の木が見えて、こちらも良い眺めとなっています。

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桜満開も当然ながら綺麗で好きなのですが、個人的には少し緑の葉が出て来てピンクと緑が混じり合っている頃の方が好みですね。

本日で3月もおしまいとなり、明日からは新年度がスタートです。

動物病院ではノミ・マダニ予防も本格開始となり、また狂犬病の予防接種も始まってまいります。

狂犬病予防接種につきましては常時可能です。また町田市にお住いの方は行政手続きの代行(新規・継続両方とも)が可能ですので、当院へお問い合わせ下さい。町田市から郵送されたおハガキをご持参いただくと、手続きが簡便となりますのでお忘れないようにお願い致します。

ノミ・マダニ予防につきましては、既にマダニの活動・吸血が確認されております。お散歩で草むらなどに足を踏み入れたり、お出かけをする場合には必ず予防をするようにしましょう!!

予防薬はスポットタイプ、オヤツタイプとありますのでお選び下さい。

フィラリア予防は5月からとなりますが、お薬のご案内前に必ず血液検査が必要となります。5月以降は検査までお時間を要する場合もございますので、4月中の検査実施・お薬の処方をお勧め致します。



厄介なお腹の寄生虫、猫トリコモナス 


今回は、時折繰り返す軟便&少量の血液付着便がある猫ちゃんのお話です。

元気一杯食欲盛沢山の子猫ちゃんですが、ご自宅に来て以来ずっと上記のような症状が続いております。ひどい下痢になってしまう事は少なく、何となく軟らかい、というものです。

便検査を実施すると、出てきたものがおりました。(動画になります)

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画質が見辛くて申し訳ないですが、画面の中央付近に楕円形の動く何かがいますね。

これはトリコモナスという寄生虫です。

「トリコモナス 猫」の画像検索結果(染色されたトリコモナス)

トリコモナスは原虫という寄生虫の種類です。これと症状がよく似て、形も類似点があるものにジアルジアというものがいます。

関連画像(染色されたジアルジア)

原虫という寄生虫の種類自体をあまり聞きなれないかもしれません。

多くの方の寄生虫のイメージは「サナダムシ」「回虫」「ぎょう虫」「白くてうにょうにょ長いもの」というものではないかと思われます。実際にそういった寄生虫を見かける事も多く、それらが動物に居た場合には飼い主様もご自身の目で見つけられる事もあります。

しかし原虫は顕微鏡でしか見られない為、そして形も長細いうにょうにょしたものとは異なる為に寄生虫として理解するのに戸惑ってしまう事があるでしょう。

問題なのは、トリコモナスもジアルジアも糞便検査での検出率が高くないという事があります。下痢の症状で来院された際に持参して頂いた便では、検査をしてもこれらの寄生虫が見つからない事が多く、環境中に排便されてから時間が経てば検出はほぼ不可能になります。直接お尻から便を採取するか、それこそ病院の目の前でした便..."採れたてホヤホヤ"でないと顕微鏡では難しいでしょう。ネコちゃんから見つかった今回のトリコモナスも、お尻から直接採取したもので見つかっています。

しかし採れたて便でも見つからない事も度々あります。一般的に直接採取した便での検出率は10~20%程度とも言われています。そういった場合、これらの寄生虫感染が疑わしい場合には遺伝子検査というものを行います。遺伝子検査を行う事で、病気の原因となり得る細菌・ウイルス・寄生虫が便の中(腸内)に含まれているかを調べ出す検査です。非常に有用ですが、こちらも検出率は80~90%で100%ではない事と、検査費用の点で何より難しく、一般的に行う検査というよりかは診断に苦慮する際に用いることが当院は多いです。

さて、このトリコモナスという寄生虫。検査で見つけづらい=診断がしづらいという事も厄介ですが、それ以外にもいろいろと厄介な事があります。

2つ目の厄介な点は、非常にしぶといということです。

トリコモナスに対して使われる駆虫薬にはメトロニダゾール、チニダゾール、ロニダゾールがあります。メトロニダゾールという薬が一般的で、第一選択として使われる機会が多いでしょう。

これらの薬のどれが最も優れているという事は一概には言えず、そのケースに使用してみての結果論として効果の高い低いが判断されることになります。しかしこれらの薬を用いても、完全に駆虫できるとは限らず、症状が出ないまでに改善しても腸内には残存しているという事もあります。

残存してしまうとその子のした便の中に寄生虫が含まれることになります。自然に排泄されて時間が経った便の中で生存し続ける事は困難ですが、排便直後の便そのものやお尻周囲に付着した便には感染力を持ったトリコモナスがいますので、触れたり舐めたりするとそこで感染サイクルが続いてしまう為に、同居猫さんがいるお家やブリーダー、ペットショップなどでは他の子との慢性感染が継続してしまう事で頭を抱えてしまいます。

治療を継続してもなかなか治らない、トリコモナスが居なくならないという事態も多いので、非常に厄介な寄生虫です。

3つ目の厄介な点、それは治療に用いる薬が何れも"極上級に苦い"という事です。

トリコモナスに用いられるお薬は先述のものが主となりますが、その全てがとても苦いものです。

人にも用いられるお薬ですが、この薬は有効成分を固めた錠剤の外側にコーティングがしてあります。苦味の部分が直接味覚に触れにくいようにしてあります。

しかし動物に用いる場合にはそのままの錠剤ではお薬が多すぎる為に分割したり粉にしたりする必要があります。そうすると、どうしても苦味の強い部分が表に出て来てしまうので投薬に困る事があります。

特に猫ちゃんではお薬を飲ませる際に苦味を感じるとカニのように泡をぶくぶく、ヨダレをだらだらで非常に難しくなることがあります...。

4つ目の厄介な点は感染力です。

駆虫しきれずにキャリアとなってしまう子もいますが、そういった子は明らかな血便や下痢は示すことなく時々軟便になる程度で、ほとんど無症状で過ごしている事も多いです。しかし便には寄生虫が居る為、免疫力の弱い子犬子猫や持病がある子などには感染しやすくなります。また稀に人間にも感染する事があります。

こういった事態を防ぐためにはこれらの寄生虫が検出された場合には、他の子との接触を避け、できれば感染が確認された子を隔離し、使用していたトイレや敷物などをよく洗って干して乾かすなど清潔に保つことが大切です。

回虫や条虫といった寄生虫は駆虫薬の投薬でほぼ駆除する事ができますが、ことトリコモナスに関しては投薬の手間とそのしぶとさから、病院も飼い主様も互いに頭を悩ます存在です。



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