院長ブログ


お知らせ以外のブログ更新が久々となってしまいました💦

ケースリポートもありましたが、当院お馴染み(?)となってしまっている歯科ケースが大半であり、ちょっと更新をサボってしまっていた感もあります。反省🙇翻っては、馴染みのケースが多いという事は突飛なケースや重症ケースが目立ちにくい年であったという良い捉え方もできなくはない...?プラスに考えて行きましょう!

久々更新のブログですが、今回はケースリポートではなく、書籍のご紹介です。このパターンは初めてですので、「紹介元から先生は何かしらのキックバックを貰ってるのでは...」なんて邪推はしないで下さいね、何にもありません。(笑)貰えたら嬉しいですが...おっと、これは裏の話で...🤐

ご紹介する書籍はこちらになります。IMG20251211171046.jpg

緑書房から発刊されている「犬と猫に危険な有毒植物図鑑」です。

身近な植物や野菜、果物などでも犬猫にとっては有害になりうる可能性があるものが多数記載されています。

植物は多種多様、沢山ですので、全ての有毒植物を網羅できているわけではありませんが、例えばご自宅に飾ってある観葉植物やお庭にある植木、散歩ルートにある植物などを観察して有害になり得ないかという事は知っておいて損はしません。

観葉植物においては意外と有毒になり得るものが多いので、基本的には犬猫の届く範囲には置かないようには注意喚起をさせていただいておりますが、例えばこの季節であればシクラメンやクリスマスローズなども部位によっては毒性を持ちますのでご注意下さい。全ページカラー写真と共に掲載で文字だけではなく視覚的に見やすいかと思います。専門系書籍としては手に取りやすい価格でうす。......専門系としては😹

記載されている毒性及び症状が必ずしも生じてしまうという事ではないですが、知識は武器となり、ワンニャンの健康安全に役立つかと思いますので、ご興味持たれた方は発行元さんにサンプルページがあるので覗いてみてください。(※著作都合上当HPで内容を載せる事はできません。)



☀暑さに注意!!熱中症に気を付けましょう!☀


今年の梅雨も、梅雨の気配が乏しいままに過ぎ去ろうとしています。雨が少ないから渇水が心配...と思えば、随所でゲリラ雷雨でこれでもかと土砂降りをお見舞いしてくる予測困難な天候状況です。(※水源地に適切な雨が欲しいですね😿)

ゲリラ雷雨の発生要因の一つになっているのが、日中の高温多湿状況です。早くも35℃超えの気温を記録する日が東京でも見られていますが、梅雨明けを迎えて以降は益々と猛暑・酷暑の日が多くなることが予想されます。人も動物も、熱中症には十分に、十分以上に気をつけて行かなければいけませんね。

先日、日本動物愛護協会からこのようなポスターを頂き、病院にも掲示させていただいております。

真夏のホットドッグ警報.jpg

コミカルではありますが刺激的なイラストですね。しかし、このくらいのインパクトはあっても良いと感じます。

例年に注意喚起をさせていただいておりますが、この時期において晴れの日のワンちゃんのお散歩は『非常に危険』です。

理由としましては、犬は人間のように発汗による体温調節ができません。犬の体温調節はハッハッハッと呼吸すること(パンティング)で、口腔内から水分を蒸散させることで気化熱の作用を利用して体温を下げます。しかし、発汗による蒸散に比べてはるかに効率の悪い方法となります。

加えて被毛をまとっていますので、熱がこもりやすいです。真夏に天然毛皮のコートを着ているのですから当然暑いです。北欧犬種(ポメラニアン、ハスキー、サモエドなどなど)は冬は頼もしい被毛ですが夏にはかなり堪える毛皮の暑さになります。

短頭種(パグ、フレンチブルなどなど)においては鼻の穴が狭く、喉も狭い為に更に熱を逃がす効率は悪くなります。

そしてポスターイラストのように、真夏日中のアスファルト温度は状況により60℃以上まで熱くなります。散歩する動物にとっては、まさにホットプレートの上を素足で歩くのと変わらない状況です。靴を履かせて散歩すれば大丈夫!!...ではありません。足の裏は保護されますが、道路からの照り返し(輻射熱)が人間以上に背の低い犬にとっては深刻です。

top(ウェザーニュースhttps://weathernews.jp/s/topics/202107/280235/より引用)

必ずしもこのような温度差になるわけではありませんが、高低差により体感温度が10℃以上異なる場合があることは覚えておいてください。

屋内にいても締め切った室内では気温が高くなりますので熱中症リスクはあります。窓を開け放して喚起していれば安心、というわけにもいかない日も非常に多くなりましたので、やはりエアコンにて冷房を入れておくことが望ましいでしょう。エアコンを好まない、電気代がかかってしまうなど色々と諸問題もあるかと思いますが、生命には代えられませんのでエアコンスイッチONを推奨いたします。26℃くらいの設定でもかなり違うと思います。

タイトルなし.png

上記のようなNG行為は決してなさらないようにしてくださいね。

人も動物も、熱中症は死に至る重篤な病態です。命を取り留めても後遺症が残る場合もあります。換気・空調管理、水分補給、塩分補給(人の場合。動物はむやみに塩分を与えないでください)、しっかりとした休息体調管理を心掛けて、今年の暑い夏も乗り越えていきましょう!



胃内異物による不完全閉塞のケースリポート


異物誤飲によるケースは決して少なくはありません。

多くの場合では自然通過(※必ずしも様子見していい例ではないので必ずお問合せ下さい)するか、誤飲後時間経過が間もない&催吐可能なものであると場合には催吐処置で回収を試みるものがほとんどです。催吐処置では回収できず又は催吐させることができない異物の場合には内視鏡での摘出となったケースも勿論あります(※内視鏡の場合には他院様へご紹介させての処置をお願いしております)。

しかし、上記のケースに該当しない或いは既に小腸へ移動してしまい閉塞している場合や、胃内にあっても内視鏡摘出が困難な場合には外科的な摘出をするしかありません。

今回のケースは猫ちゃんで、10日ほど前より吐いたり吐かなかったりを繰り返す症状が見られていました。

食欲はあったり少し減ったりと不定な動向で、活動性も同じように不安定でした。

飼い主様がしばらく様子見をしてしまった原因の一つは、便通がある程度毎日出ていた事でした。

飼い主様の見識として、閉塞すると物体の通過が邪魔されますので、胃あるいは小腸で閉塞すると上から来たものは閉塞地点で滞留し逆流(嘔吐)、閉塞より先の部分には新たな便が形成されないので便が出なくなる、というものがありました。この点に関しては間違ってはいませんが、しかしその例に該当しないケースも勿論あります。今回の子はその該当しないケースという事でした。

以前より少し異物を齧る癖も見られていた子でしたので、何か飲み込んだ可能性も疑っておられました。しかしその場合何を飲み込んだのかはわからなかったようですが、あるべきものが一つ無くなっているのに気付き、もしかすると...という事でその無くなった物と同じ新品を参考としてお持ちいただきました。

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X線にて一目瞭然、胃内に異物が確認できます。お持ち頂いたもの寸分違わぬ形と大きさでしたので、診断即決です。

何を飲み込んでしまったかというと、ゴム製のパッキンです。割と大きめなのでまさか飲み込んでないよね...という思いだったようですが、上手(?)に飲み込んでしまっています。

胃内に停滞していたのは、ある意味で不幸中の幸い、不完全閉塞となっていたのでうまく食べ物が通過できた場合には消化吸収・排便が出来ており、異物に邪魔されて通過できなかったものは嘔吐していたという事になります。

ゴム製なので内視鏡摘出も検討されましたが、日数が経過しておりゴムが胃酸により劣化&硬化している可能性と、大きさがそれなりにあった為、胃切開による摘出となりました。

IMG20250224114723copy.jpg術中の様子です。赤丸部分が胃であり、糸で釣り上げているその直下に異物が存在しておりデコボコした形状になっています。

IMG20250224115005.jpg摘出した異物です。写真ではわかりづらいですが、予想した通りゴムの一部は硬化していました。

幸いだったのは不完全閉塞だったという点は前述の通りで、胃及び腸などに対するダメージが非常に軽度であったという事です。術後の回復は順調で、退院後の食欲も問題なく過ごしてくれているようです。

猫ちゃんにおいては紐状異物に対しての注意喚起は度々させて頂いております。しかし、予想外にやってしまう場合には予防対策がしづらいのも当然です。もしかするとこの子は異物を飲んだのかも...?と頭をよぎるケースがあった場合には、必ずお家の中・身の回りを可能な限り探索して、あるべきものが無い、あったものが無くなっている・欠けているというものがあれば、受診の際にお持ち頂けると診断の一助になりますので宜しくお願い致します。



固すぎるオモチャ・オヤツにご用心!!歯の破折


以前(2020年1月)のケースリポートと類似事例となります。

今回も類似事例を取り上げさせて頂いた理由としましては、当院からの注意喚起の意味合いを強く意図しています。

今回のケースリポートの子は、若い年齢のワンちゃんです。

固いものを噛んで遊ぶことが好きで、色々な物を噛んでいたそうです。

その中で、オモチャとして与えていたのが『蹄』。

そうです、私が"個人的"に敵視しているオモチャの一つです。その理由は至って簡単です、歯にとって良い点が全く無いからです。

さて、そのカジガジして遊ぶのが好きなワンちゃんがどうなったかというと、言葉の表現は良くは無いかもしれませんが、予想通りという言葉で表されるように、案の定、歯が欠けて折れました。

飼い主さんとしてみたら、お店で販売しているものが悪影響を及ぼすものとは思わないでしょうし、なかなか直接的にそういった情報に接する機会も無いor少ないかもしれません。

受診の経緯としましては、蹄を噛んで遊んでいて後に欠けた歯が落ちていた事、それ以降そちらの歯みがきをするのを非常に嫌がるようになったとの事で来院されました。

このようなケースで一番折れやすい歯は、上顎第4前臼歯という部分です。

タイトルなし.jpg(画像は https://petokoto.com/articles/2513 様のものをご使用させて頂いております)

非常に力が加わりやすく、噛み応えがよい部分なのでしょう、ワンちゃんは前の歯ではなく後ろ側の歯でものを噛む事が多いです。

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件のワンちゃんの歯の様子です(診察時ではなく、処置時の写真となります)。青矢印部分の上顎第4前臼歯の一部が欠けており、歯の神経や血管がそのまま見えてしまっている露髄という状況になっています。当然、神経が直に触れるような状態ですから、知覚過敏的な痛みがあると思われます。

こうなってしまった場合の治療方針は二つとなります。

一つは歯を温存する形で、歯冠修復を行って治療する方法です。こちらは露髄した神経・血管を薬剤を注入することで機能を消失させ、その後に空隙となった空間に充填剤を入れて固めて隙間を無くして細菌などの侵入を防ぎ、折れた歯の部分にはレジンなどの素材を使いいわゆる"かぶせもの"をして固定化する手術方法です。

二つめは単純明瞭、該当歯の抜歯です。

歯冠修復術のメリットは、歯の温存が可能であり機能維持・外観形状が今までと同じであることです。デメリットは、上記処置には一般的な歯科処置プラスαの器材・技術が必要であり、引き続き強くものを噛む子では修復した歯冠が脱落してしまう(かぶせものが外れる)場合があるという事です。残念ながら、当院では歯冠修復術は実施することはできません。

抜歯対応のメリットは、当院対応可能、という点は置いておいて。抜いてしまえば基本的にはそれで終了、かぶせものなどもありませんので基本的には施術部位が治癒した後はそのままです。デメリットは、歯を抜きますので当然ながらその部分では物は噛めませんし、外観も歯抜け状態となります。とはいえ、非常に支障をきたすようなケースは見たことは無いのですが、やはり虫歯ではない歯(※虫歯のような状況になる可能性はあります)を抜歯するという点に抵抗感を覚える方も多いのも当然です。

このワンちゃんは当院で歯の破折を確認後に上記治療法をご説明し、歯冠修復を実施可能な病院様を一度受診されました。その上で、上記等のメリット・デメリットをお考えの上、当院での抜歯処置を実施することになりました。

IMG20250106133508sモノクロ.jpg

施術後の写真です。赤丸部分が抜歯部位になります。抜歯した後は歯が埋まっていた部分に穴が生じますので、ドリル等の道具を使い形を見ながら歯茎の粘膜を利用して縫合して覆って塞ぎます。しばらくは痛みや慣れないところもあるでしょうが、10日~14日もすれば問題なく過ごしている事でしょう。

今回あるいは前回のようなケースを防ぐ方法は簡単です。

固すぎるオモチャ・オヤツは与えない

これだけです。癖として固いもの噛む傾向が強い子は確かにいます。ストレス発散、暇つぶしとしてそういったアイテムを与える事もあるかもしれませんが、固すぎるものは避けるべきでしょう。

蹄、骨(例えば牛骨など)、非常に硬い硬質プラスチック、石(まさか与えないと思いますが...)

個人的には百害あって一利なしです(以前にも言った記憶が...?)。

お店等で売っているもの全てが、その子にとって良いものというわけではありません。大変かもしれませんが、飼い主様自身での情報収集も多少は必要になってしまっているのかも...。

余談:今回はワンちゃんのオモチャですが、猫ちゃんのオモチャでは棒&紐&先っぽに小さなぬいぐるみ・オモチャのようなものは、遊ぶのは結構ですが管理は厳密に、置きっぱなし出しっ放しは絶対ダメです🙅



《🐲⇒🐍2024年も大変お世話になりました🐲⇒🐍》


2024年12月30日にて、年内の最終診察日とさせて頂きました。

12月31日~1月3日までは休診日とさせていただき、1月4日(土)より診察開始とさせて頂きます。

今年一年間、皆様には大変お世話になりました🙇

2024年は元日から能登地震、翌日には航空機事故などの驚くような出来事から始まってしまいました。

医薬動物業界では、今の時期のインフルエンザの猛威、マイコプラズマ肺炎などの爆発的増加など各種流行病が多々見られています。そしてその治療における医薬品不足もかなり深刻であり、様々な治療・手術に多大な影響が出ています。私達動物病院でも医薬品不足は慢性化しており、お薬の種類によってはもう数年間入手できなくなっているものもあります。

経済的には様々な値上げ値上げの連続...懐事情に毎年厳しい状況が続いてしまっています。

どうにか、2025年はこういった湿ったどんよりとした話題ではなく、明るい笑顔になるような話題が多く生まれてくれることを願うばかりです。

皆様、どうぞ健やかに良いお年をお迎えください。

来年もどうぞ宜しくお願い致します。🐶🐱IMG20241230172429.jpg

年末年始休診期間中の緊急時には、下記救急診療病院様にお問い合わせの上、受診をお願い致します。

●神奈川どうぶつ救命救急センター 様  📞042-851-3763

●オールハート動物リファーラルセンター 様 📞042-708-9600

●ぺても動物医療センター相模原 様 📞042-757-2230(日中)、042-757-3166(夜間)

●ER八王子動物高度医療救命救急センター 様 📞042-670-1277



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鶴川街道、「市立博物館入口」信号近く

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駐車場内でのトラブルは責任を負いかねますのでご了承の上ご利用ください。

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