腸閉塞(糸)の猫ちゃんの一例


猫の誤飲などによる腸閉塞で多いものは、オモチャ、糸、パズルマット、果物の種、消しゴム等々があります。

以前に当院では誤食ではなく、毛玉による例とパズルマットによる例の猫ちゃんをブログに記載したことがあります。

今回は、その誤飲の例の中でも多く、そして上記に挙げたものの中で最も怖い"糸"が原因だった例です。

若い年齢の猫ちゃんですが、数日前からの食欲低下と食後の嘔吐を主訴に来院されました。

受診初日では明らかに腸閉塞を疑う所見に乏しかったですが、後日に改めて診察させてもらった際にレントゲンで怪しい箇所が見られました。

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画像を見易く加工していますが、どこが怪しいかわかりますか?

怪しい部分は、2か所です。

小さい赤丸部分は、何か怪しい影が...

大きい赤丸部分は、腸が"くしゃ"と畳まれているような所見になっています。

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確認の為、造影剤を用いての撮影を実施しました。

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造影剤を流すと、食道から胃に向かって一直線に造影剤が見られます。通常ならばこのような画像は絶対ありえません。

この画像から、「腸閉塞を起こしており、その原因は間違いなく糸」と判断できます。

実際に麻酔を行い、口の中をよく確認してみると舌の根元に糸が引っかかっているのが確認できました。

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この後、胃及び腸の複数個所を切開し、糸を摘出しました。

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糸の全長は計測していませんが、2m以上はあったと思います。

術後は回復も早く、嘔吐も一切見られなくなりました。数日の入院後、元気に退院していきました。

元々、糸で遊ぶ癖があったようでしたので、今後も飼い主様には周囲を注意して見ていただくようにお伝えしました。

先程挙げた異物の中で、何故に糸が最も怖いかというと、閉塞を起こして影響を及ぼす範囲が非常に広くなってしまう事が理由の1つとしてあります。また、糸単独ではX線ではなかなか確認しにくいという事もあります。

糸を飲み込んだ際に、時々お尻からちょろりとでてくることがあります。軽く引っ張ってススッ~と糸が取れる場合には問題ありませんが、途中でググッという抵抗感が見られた場合には決して引っ張らないでください。途中で引っかかってしまって、最悪そのまま引っ張ると腸を裂いてしまう恐れもあります。

糸、紐、長い髪の毛など、決して侮るなかれです。



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