院長ブログ

8月、夏本番!  只今お泊り中の子です   


夏休み入り、子供達が待ちに待った時期となりましたね。

親御さん方としましては、お子様方と一緒に過ごす時間が増える機会ではありますが、溢れ出るそのパワーに圧到されているのではないでしょうか。「どっか連れてってーー!」攻撃は、何時の時代でもあるものでしょう。

思い出せば私が小学生の頃の夏休みは...朝はラジオ体操(起きれなくてすっぽかした事もありましたが)でスタンプ押してもらい、帰って朝ごはん食べてから9時くらいまで家にいて、それから友達とお昼まで遊び、昼ご飯食べた後はまた夕方6時くらいまで遊び...みたいな過ごし方をしていました。宿題は何時やっていたんだというご指摘に関しては、多分雨の日とか外で遊べない日にまとめてやっていたか、朝の遊び時間までの空きの間にやっていたような。何分幼い頃の記憶ですが、一つ言えることは!!2学期までには宿題は全部終わらせていましたよ!よくある話の、8/31にまとめてやったという事はなかったと思います(ごにょごにょ)

はてさて。そんな夏休みの時期、ご家族様で旅行に出かけたり等で当院のホテルをご利用される患者様も多くいらっしゃいます。今現在お泊り中の子は、この子達です。

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柴犬のチャチャ丸ちゃんです。飼い主様のご都合で、長期のお泊りをしている子です。現在3週間目、環境に慣れていますが、さすがに散歩以外の時間帯は暇そうにしている視線がこちらに突き刺さってきます(^-^;

写真を見てわかる方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと皮膚が弱くアレルギー疑いで治療している子です。治療プランを実施していき、食物アレルギーの治療を行う事で、現在は薬を使わずに痒みをかなりコントロールできるようになっております。なかなか完治は難しいですが、無投薬で許容範囲内の痒みに抑えられているのは良い傾向かなとみております。

もうしばらくお泊りが続くけど、頑張ってね♪

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もう一頭はmixのクララちゃん。

散歩では決まったルートを進もうとし、なかなか病院の方向に帰って来てくれないので、散歩の帰り道はお互いに引っ張りっこしています(笑)というのは大げさですが、ちょっとだけ「いやだ―、そっち帰りたくないー」という素振りを見せても帰るよーと何度かリードを引っ張ると、渋々そうな感じではありますが自分で歩いてくれるので助かっています。大好きなお父さんが帰ってくるまで、もう少しだけ病院で我慢してくださいな(笑



歯石、歯肉炎で治療実施した猫ちゃんの例


今回は口の症状を主訴に来院された猫ちゃんの例です。

食べた・齧ったものに血が付いているという事で飼い主様は異常に気が付かれました。

同居猫さんが他にも何頭かいらっしゃるお宅でしたので、猫同士によるケンカによって口を怪我してしまったと思われるとの事でした。

しかし実際に診察してみると、診察の一番最初から猫ちゃんは口を開けたままの状態でした。

猫ちゃんは口を開けての呼吸というのは、心臓または呼吸器機能に異常を有している場合が多い為にそちらを懸念しましたが、呼吸は安定しておりました(緊張はしていましたが)。

よく見ると、口周りに涎が多く付いているのと、それに血が混じったようなものも・・・

そしてやはり口臭が強く、これは歯の痛みから口を閉じられないのではと考えて口の中を覗いてみると、ドンピシャリでした。奥歯(臼歯)の部分がひどく傷んでおり、それに伴って歯茎もグズグズになってしまっており、歯が動揺している状態でした。

この猫ちゃんは室内飼育で、年齢は中年齢~シニア初期という頃合いです。食事も一般的なフードを与えていらっしゃいました。食事量が少なくなったなと思ってからは柔らかいレトルト状のものを上げていたようです。

年齢の点からすると、今回のような歯のダメージは早いなという印象でした。

歯そのもののダメージよりも、歯茎、歯肉の影響によるといった方が正しいでしょう。

猫ちゃんは歯肉口内炎が多い動物です。元々歯磨きをしない動物ですので、ワンちゃん以上にデンタルケアを習慣づけるのは大変です。また、元野良猫又は保護猫を迎えてというケースですと、幼少時にウイルス感染し、そのウイルスキャリアとなっている場合があります。そういった子は、歯肉炎になり易い要因を抱えてしまう事になります。ちなみにウイルスはカリシウイルスや、猫エイズウイルスです。これらは一度感染した経緯があると、終生ウイルスは体内に存在する事となります。(ですが、必ずしも発病するわけではありません。)

どのような背景がこの子にあったかはわかりませんが、飼い主様とのご相談にて、とにかく痛みをとってあげることが最優先という事で、即日処置を行う事になりました。

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今回は写真がどれも映りが悪く見づらく申し訳ないのですが...

麻酔をかけた直後の様子です。写真に注釈してありますように、奥歯に歯石が付いているのがお分かりいただけると思います。歯茎の部分は見えませんが、赤くグズついた感じになってしまっていました。写真に見えている奥歯よりも手前側に通常はもう2本、歯があるべきはずなのですが、既に脱落してしまっておりありませんでした。つまりは、口の中のトラブルはもうちょっと若い頃からあったという事になります。やはり時期としては早い事になります。

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先程と同じ歯の部分です。歯肉部分の炎症、出血している様子がわかるかと思います。

この写真でみると、上顎部分の歯がない事に気づかれますでしょうか?これは抜いたわけではなく、下の歯と同様に過去に抜けてしまっていたというものです。犬歯(牙)の歯肉も、充血して腫れています。

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また見えにくい写真で申し訳ないのですが、反対側の口の様子になります。

様子としては先程と同様に、既に抜けてしまった歯も多く、残っていた奥歯は歯肉炎がひどく、抜歯が必要不可欠な状態でした。こちらの下側の犬歯は、根本が露出するほど傷んでいた為にこの歯も抜歯しました。

結果的に、残っていた全ての奥歯を抜歯する事となりました(全臼歯抜歯)。

また、前歯の数本も残存が不適と判断したものは抜歯しました。

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抜歯した歯の全てです。もしも他にも傷んでいた歯が抜けずに残っていたら、もっと痛かったのではと思います。結果的に抜けていた歯があったからこそ、今まで特に症状が強くみられなかったのだと思います。

猫ちゃんの歯石の付着はその食事内容やデンタルケアなどの有無にもよりますが年齢の経過と共に次第についてきてしまいます。それに伴っての歯肉炎というのも多いですが、この子のように年齢の割に歯石の付着が重度で、歯肉炎も重度な場合には、基礎には歯肉炎を引き起こす何らかの要因(先述のウイルスキャリア、免疫疾患、口腔内細菌叢の乱れ等)が存在しているケースが多いです。その確定は困難な例が多く、そして治療も困難な例が多いです。

歯石付着の関与が特になくても、慢性的な歯肉口内炎を患ってしまっていて食べ物が食べにくかったり痛みがあったりする場合は、内科療法のみではなく外科的な治療(全臼歯抜歯や全顎抜歯)が必要な事もあります。そういった事がもしある場合は、ご相談下さい。



重症熱性血小板減少症候群のネコからの感染事例のニュース


衝撃的なニュースが報道されていましたね。

ご存知の方もいらっしゃるかと思われますが

「NHKニュース  マダニウイルス 動物から初の感染例か 50代女性死亡(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170724/k10011072191000.html)」

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスによって引き起こされる伝染病によって亡くなられた方がいらしゃったというニュースです。

このSFTSウイルスは、マダニが保有・媒介をし、マダニが吸血する事により伝染します。

SFTSという病気は2011年に中国で原因ウイルスが判明し、命名されました。それにより、過去に遡って原因不明の病気で亡くなった方の血液を調べてみるとこのウイルスが検出され、死因がこのウイルスによると見られる例が数多くあることがわかりました。

日本においても同様に調査してみると、やはりこの伝染病が原因と考えられる死亡報告が多数あったのです。中国で発見されたウイルスと日本で検出されたウイルスは遺伝子分類上全く同じものではなく、日本には日本のSFTSウイルスがいるという事もわかりました。つまり、つい最近になって国外から入り込んだ伝染病ではない、という事です。

現在は西日本方面での感染症例報告のみで、東日本ではこのSFTSの感染報告は今のところありません。

しかし、マダニは全国のどこにでも存在し、そしてこのウイルスはいつから日本に存在していたのか今のところはわかっておりません。非常に身近な脅威となっているのは事実です。最近話題のヒアリよりも、こちらの方がはるかに恐ろしい存在です。

マダニは屋外に居る、吸血性のダニです。布団や畳、食品などにいるダニとは全く異なります。

longicornis01.jpgフタトゲチマダニ

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(画像は国立感染症研究所ホームページより)

何れの画像も拡大、または"吸血"した後のマダニの画像です。

マダニは吸血すると、最大でその体積は100倍にもなります。この段階であれば、発見は容易になるでしょう。「イボかな?」と思うと足が動いてたとか...という話を飼い主様からよく伺います。

しかし、吸血する前のマダニは小さく、発見は容易ではありません。特に動物達の毛に隠れてしまうと吸血前のダニの発見は困難です。

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(バイエル・ペットの為のヘルスライブラリより。http://www.bayer-pet.jp/pet/library/parasite/madani/madani03.html)

マダニは草むらに潜み、草の先端付近で吸血する獲物が通りかかるのを待ちます。

そして獲物が通った時に「エィ!」という感じに乗り移ってきます。それから主に皮膚が薄く刺しやすそうな部分を狙って吸血を始めます。

ですので野山はもちろんの事、草むら生い茂る場所などに入る時は長袖長ズボンを着用し、なるべく素肌の露出を控えて、虫よけスプレーなどを用いるのが人の方ではマダニの予防対策になります。

しかし人間だけ対策をしていても防げない場合もありえます。

犬猫を飼っている場合、散歩で外出し、草むらに突っ込んで遊んだりおトイレしたり...そんなシーンも多々あるかと思います。その時に運悪くマダニがその場所にいたとしたら...動物にくっついて家の中に侵入というケースもあります。

SFTSの症状は人では

・潜伏期間は6日~14日。

・食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等の消化器症状が多くの症例で認められる。

・その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす。

・重篤化すると死亡する。その致死率は6.3〜30%と報告されている。

・高齢者や免疫力の弱い人では重篤化しやすい      (国立感染研より引用)

とあります。この症状がSFTSに特徴的な症状だ!というものがない為、診断も困難です。

犬猫ではどうなのでしょうか。

いまだ事例がほとんどない為、はっきりとしたものではないことを前置きしたうえで

「発熱・衰弱、血小板減少症が見られた飼育猫及び飼育犬の血液・糞便からSFTSが検出された」と厚生労働省より通達が来ております。

何となくうちの子が元気がなくてぐったりしていて、動物病院で血液検査してもらったら白血球と血小板が少なくなっていた...って、これはもしかしてSFTS!?

可能性は0ではありませんが、同様の症状を引き起こす病気は多々ありますので不安になり過ぎないようにしてください。

マダニ⇒人、マダニ⇒犬・猫という感染経路は今までも判明していましたが、今回は猫⇒人という例が確認された事が大きなポイントです。

皆様にご注意いただきたい点は、不安になりすぎない事、慌てない事です。

SFTSの感染事例は少なく、ましてや屋内飼育の場合は感染の可能性は非常に少なくなります。

そして、野良猫の全てがSFTSを持っているわけでは勿論なく、元気がなく発熱している動物が皆SFTSという事でもありません。

落ち着いて状況を見る事と、そして万が一の事態を避けるためにしっかりと動物達にはノミ・マダニの予防薬を使うようにしましょう。

マダニの予防対策を人も動物も如何に行うかという事が、SFTSそのものの予防に繋がり、重要となります。

こちらのHPも是非ご覧になってみて下さい。

厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html



去勢手術頑張りました! まほろちゃん編


暑い日々が続いていますね。

本日に関東がやっと梅雨明けという事で気象庁から発表がありました。

そもそも梅雨をほとんど実感しないまま、本格的な夏に入っているような天気が続きました。

雨が降るといえば突然の豪雨だったり、夕立でパッと過ぎ去ったりで。"梅雨らしい"雨の日は、今年はありましたでしょうか?

本日のお写真は、まほろちゃんです。

先週に去勢手術を行い、抜糸に来院されました。

術部をいたずらしてしまうかどうかが、飼い主様と私の不安要素だったのですが、その不安をまったく感じさせないほどに...ほとんど気にせず!!だったそうです。

えらいぞ、まほろちゃん!!手術前に「舐めるかなぁ‥いたずらするかもなぁ・・・カラーつけなきゃダメかなぁ・・・洋服着せなきゃだめかなぁ・・・」とお母様と一緒に悩んでいた時間を返してください(笑)

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抜糸が済み、耳の治療経過のチェックが終わった後のまほろちゃん。

処置台の上でこのリラックス感。

1歳にしてこの落ち着き様、お見事。

しかしお家の中ではまだまだ好き放題やっていて飼い主様が悲鳴を上げているようです(;´・ω・)

ですが病院では非常にお利口さんで、耳チェックも爪切りもらくちんらくちん♪

去勢手術の後は体重管理に気を付けていかないとね。頑張っていこうね、まほろちゃん!

お母さんを困らせちゃうのも、ほどほどにね(笑



~保護猫ちゃんのその後~


6/8に、当院で治療保護していた子猫ちゃんについてのご報告です。

当ブログでは初報告ですが、病院Facebookの方では保護時から時々お知らせさせて頂いておりました。

当院には、患者様が保護して連れて来られました。生後1か月くらいと思われる子猫ちゃん(♀)で、同じように保護した他の兄弟猫と比べて元気がない、という事でした。お腹を触診してみると、まるで"ビーズクッション"を触っているかのような、通常ではまず感じるはずのない触感。嫌な予感しかしない状態でレントゲンを撮ってみると・・・

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お腹(主に胃)いっぱいに詰まった無数の小石がありました。ビーズクッションのような感覚は、この小石がシャリシャリと動くことによるものだったのです。

保護された時は道路の側溝にいたとのことですので、お腹が空いたあまりに手近なところにあった口に入りそうなものを次々飲み込んでしまったのかどうなのか...とにかく、胃袋全部に石が詰まっていました。腸の方にも流れており、吐いたりする様子はこの時はみられませんでしたが、閉塞を起こしてしまう可能性は十分にありました。

元気な兄弟猫は保護された患者様にお願いし、今後どうなるかがわからないこの子は当院で預かる事になりました。

来院したその日の夜に緊急手術を実施し、胃と腸の一部を切開して、中にあった異物を摘出しました。

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これが摘出した異物です。小石がほとんどで、その他にビニールひも、発泡スチロール片、写ってはいませんが回虫もいました。手術前の子猫の体重が500gで、摘出した石の重量は50gでした。1/10が石ということです。

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手術直後の様子です。生後1か月くらいとすると、人間では2歳くらいでしょうか。状態も良くない中で、手術は何とか頑張ってくれました。後は体力をつけて、無事に回復してくれることを願うばかりです。

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手術から2日目の様子です。手術翌日はさすがにぐったりしていてほとんど寝たままでした。頑張れるかなと心配でしたが、2日目には少しずつ自分で動くようになってきました。まだ点滴のみで、食事はこの翌日から水分→流動食へと徐々に量と内容を変えていきました。

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少し日が空きますが、術後8日目の様子です。既にこの時点で流動食はしっかりと食べて便通も良いものが確認できておりますので、点滴は外してお薬の服用と食事管理に移行している段階です。非常に食欲旺盛で、この時もゴハンの追加を要求している様子です。

その後、院内で体力回復を主として、保護しておりました。

保護から2週間目くらいの写真です。

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保護してから3週間目の様子です。成長して保護時から大分大きくなりました。ケージ内では大人しいのですが、外に出すとびびりまくりで目を離すとどこかの隅っこに隠れてしまうので、捜索が大変でした。写真撮るときも外に出してますので、目と表情が思い切りビックリしています。

この時点での猫エイズと猫白血病はとりあえずは陰性。駆虫も完了です。

手術の際に、避妊手術も同時に実施しています。早期の避妊手術の実施については、各方面で議論があり、影響があるとも、影響がないともどちらとも言われております。実施するかどうかは悩むところでしたが、大きくなってから再度麻酔をかけて行うよりも今回の手術の際に同時に行ってしまう方が短時間且つ簡便で済むこと、いずれ里親さんを探してお願いさせて頂くことを考慮し、この子に関しては実施しました。(通常の避妊手術は6か月齢以降で実施しております)

1回目のワクチン接種も終わり、里親となっていただける方をご相談したところ、何名かの方が有難いことに手を挙げて頂きました。

その内のあるご家庭にて、現在トライアル実施中です。

院内の様子からすると最初はびびってどこかに隠れてるんだろうなとは思いますが、時間が経てばもともとは人には慣れている子でしたので、順応してくれると思っております。

もしかすると助からないかもしれない、という状況から見事に回復して、新しい生活の場を得ようとしている子猫ちゃん。本人の生きる気力(と、その後の食欲)が、自らの道を切り拓いてくれました。

これから先も元気で過ごしてくれることを願うばかりです。



アクセス

鶴川街道、「市立博物館入口」信号近く

うぇる動物病院

Pあり

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駐車場内でのトラブルは責任を負いかねますのでご了承の上ご利用ください。

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