頬の腫瘤切除(脂肪腫)の例。
観測史上最強の寒気が北日本を覆いつくし、そして今日は都心でも降雪が見られましたね。
例年に比べて当院地域は暖冬だと感じておりますが、気温の上下が大きく開くこともありますし、このまま春に向かって暖かくなっていくのかと思いきや雪が降ったりと変則的で困ってしまいますね。インフルエンザの波は幾分落ち着き始めたようですが、引き続き十分にご注意なさってください。
伝染病といえば、獣医業界も含む畜産業の方では豚コレラという伝染病が中部地域で拡大し、更なる感染拡大防止の為の封じ込めと、残念ではありますが家畜の殺処分が行われています。関係者の方の経済的な損失も、精神的な負担も計り知れません。早期に終息する事を願うばかりです。
しばらくぶりの更新となってしまいました。今回は頬にできたできものを切除した子です。
できものはしばらく前に見つかっており、大きさの推移をみていたのですが、ある時に突然一回り程大きくなってしまいました。急激に大きくなると良くない印象が多いですが、針を刺して調べてみるとさほど悪さをしなさそうな細胞の所見が出てきました。
その後投薬を行いながら経過を見ていきましたが、今後増大する可能性がある点、その場合に切除範囲が広くなってしまう点を考慮し、巨大化する前に切除介入を行う事になりました。
赤線で囲った部分の皮下に腫瘤があります。最初に飼い主様が気づいた時はこの半分程度だったのですが、短期間でここまで大きくなってきました。確かにこれ以上大きくなってしまうと、切除した際の皮膚の余裕がなくなってしまいます。
大型犬の子でしたので、手術台の上に乗せるのにスタッフと「よいしょっ!」と力を入れてのセッティングでした。
予定では頬の部分のみの切除予定でしたが、数日前に脇の部分に似たような感触のできものがあることに気付いたとの事で、こちらも合わせて切除する事になりました。
頬の部分から切除した腫瘤です。触診では異なり、周囲の筋肉に一部癒着していました。
病理結果は、この頬の腫瘤と、脇から切除した腫瘤は良性の脂肪腫でした。
脂肪腫は中高齢以降の皮膚腫瘍としては多くみかけるもので、良性であれば即時の外科介入を行わないケースも多いですが、この子のように発生部位や大きさの動向によっては術後の影響が大きくなってしまう懸念も考えられる場合は早期の切除が推奨されます。
発生部位にもよりますが何かしらのイボやしこりを見つけた際は、ご相談いただければと存じます。