夏場は皮膚のトラブル多発な季節です
今年は長梅雨の影響で、例年以上にジメジメ感が強いですね。
昨年は梅雨が極端に短く猛暑日が続きましたが、今年は冷夏といっていい気温ですね。今週末くらいに梅雨明けの兆しが見えてくるといいのですが...
夏は気温と湿度の影響で、皮膚病が多発する時期です。動物病院に来院される患者さんの半数以上が皮膚病関連を占めるようになってきます。皮膚病といっても勿論内容は様々です。アレルギー(食べ物・環境)症状、寄生虫の感染、細菌の感染、カビの感染、免疫異常、腫瘍性、精神的な要因など原因は多岐に及びます。
痒みの症状が飼い主様が最も気づきやすいものと思われます。そして最も痒がっている場所をよく見てみると、皮膚が赤くなっていたりかさぶたが出来ていたり、フケが多く出ていたり、場合によっては動くものが見えてしまったりと...💦
この猫ちゃんは痒みは強くはないものの、写真のようなかさぶたが広がってきてしまったということで来院されました。
検査の結果、皮膚糸状菌というカビが検出されました。このカビは伝染性がある為、同居の猫ちゃんにも類似の症状が見られ、その子も同じ病気でした。
このワンちゃんは、両腋周辺を主に痒がり、その他にも全身的に(足先やお尻周り、顔など)痒みが見られていました。しかし、背中にはあまり病変が見られません。各種検査の結果、アレルギー性皮膚炎と診断し、治療を行っています。
写真はないのですが、今年の夏はノミの大量寄生によるノミアレルギー性皮膚炎のワンちゃん・ネコちゃんが何件か見られました。毛をかき分けて地肌を見ようとすると、さぁーーーと動くノミが...不謹慎ながら、「となりのトトロ」の「まっくろくろすけ出ておいでー」のくだりを想起してしまいました。
飼い主様やご家族様にも痒みが見られているため、お家に入り込んでしまったノミを駆逐するのは相当大変な労力となります。「室内飼育でお外にはあまり出ないから、まさかノミがいるとは思わなかった」とほとんどの方が仰っていました。どのような隙をついて虫が侵入してくるかはわかりません、予防できるものなので、しっかりと皆さんにも予防を行っていただきたいと強く願うものです。
このワンちゃんは、腰~お尻あたりに大きな皮膚病変ができてしまい、毛が抜けてしまいました。皮膚も非常に赤々しく、痒みや痛みも大分あったと思われます。しかし元々の性格が我慢強い子、診察時に病変部を調べるときもちょっと迷惑そうな表情はしていたかもしれませんが、大人しく検査に協力してくれました。
一般的な皮膚検査を行い1週間ほど内服による治療を行いましたが改善の兆候が全くみられなかった為、皮膚組織の一部を採取して検査する組織生検を行いました。その結果、皮脂腺炎という免疫異常に因る珍しい皮膚病という事がわかりました。皮脂腺炎の治療開始することで症状は改善がみられ、
まだ抜けてしまった毛が生えそろうには時間がかかりますが、赤みやただれ、痒みも今は落ち着いており、治療を継続しています。頑張っていこうね!!
皮膚病はぱっと見でわかるものもあれば、そうでないものもあります。症状は類似しているけれども最初に疑った疾患とは全く違うというケース(皮脂腺炎のワンちゃんがそうでした)もあります。原因によって治療のアプローチ方法は勿論変わってきますので、なかなか治らない皮膚病変や長く続いているものなどは、積極的な検査を行って原因を調べていく事をおすすめします。