帝王切開を実施した小型犬ちゃんの例


ワンちゃんを飼われているご家庭のほとんどは、ペットショップさんなどで子犬と出会ってお家に迎えたり、あるいは保護犬を引き取って家族に迎え入れたりが多いでしょう。

ご自宅で飼われているワンちゃんの子供が欲しいので産ませたいかなと思っているのですが、というお話を時々飼い主様からご相談されます。

当院は直接的には繁殖の斡旋などは行っておりませんが、交配時期や妊娠診断は実施しております。

子供を産ませるのは、それを止めた方が良い理由(遺伝的疾患を有している・経済的に不透明・母犬に疾患がある・高齢等)がない場合は当院からあえて繁殖を止めて頂くことは申しません。

しかし必ずお話させて頂くのが、生んだ子・生まれた子全てに責任を持って飼育(又は里親さん探し)してあげてください、ということです。

犬も猫も基本は多産ですので、1頭だけというケースの方が少ないです。

1~2頭の場合もあれば、4~5頭という場合もあります。何頭生まれるかは神様のみぞ知るというところです。1頭だけ欲しかったのに、というような人間側の都合での繁殖は絶対に行ってはいけません。

また、ただ交配させて後は生まれてくるのを待つだけ、というものでも当然ありません。交配時期の見定め、妊娠中の生活・食事管理、妊娠中の母犬のケアや出産が近づけばそれに伴う準備や知識も必要になります。勿論、交配前にはワクチンなどの予防接種や明らかな遺伝性の疾患がないかなどを調べるのも、次世代の子に大切な事です。

赤ちゃんを授かるのは、人も動物も大変な事です。それゆえに素晴らしいというのもあります。

今回は小型犬の子で、事前にご相談をさせて頂いておりましたが、出産予定日に差し掛かっても兆候がなかなか見られず、いざ分娩兆候が来ても分娩には至らず途中で陣痛も弱くなってしまったということで緊急に来院していただきました。

事前に妊娠検査では2頭の子犬がおり、自然分娩可能な大きさでしたのでご自宅での出産の予定でしたが、来院時に改めてレントゲンを撮らせて頂くと

胎児2.png胎児1.png

子犬が全く産道の方に降りてきている様子がありません。

超音波検査で子犬の心拍を調べると、1頭の心拍数が低下している所見があったため、すぐに帝王切開を実施することになりました。

母犬の子は元気な状態だったのは幸いな点でした。

飼い主様のご協力もいただき、帝王切開にて取り出した2頭の子犬ちゃんは無事に生まれ、術後のお母さんのおっぱいを一生懸命に飲もうとしておりました。心拍の下がっていた子も当初はぐったりとしていて心配でしたが、その後徐々に活力が出て来て安心しました。

今回は飼い主様と事前にご相談しながらさせていただき、飼い主様もワンちゃんの出産に対するご経験のある方でしたので当日は子犬ちゃんの世話をお手伝いして頂きました。診察時間内であった事と当院の人員確保が可能であった為(それでも飼い主様にお手伝いをお願いさせてもらいましたが)に緊急的な帝王切開に対応できましたが、時間帯や人員の都合ではご対応できない場合もございます。あらかじめ連絡にて、「こういう状況である」というのを逐次連絡して頂きましたので、当院としても事前に準備を進めておくことができました。

今回のワンちゃんは自然分娩の方法を選択しましたが、犬種や胎子の大きさなどから、当初から帝王切開を選択する場合もあります。

どの方法が最適解かの判断は難しい点もありますが、いずれにせよご相談下さい。

今回生まれた子達が、元気に成長してくれることを願うばかりです。

(子犬ちゃんたちのお写真はバタバタしてて院長撮り忘れの大失態💦)



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