~保護猫ちゃんのその後~
6/8に、当院で治療保護していた子猫ちゃんについてのご報告です。
当ブログでは初報告ですが、病院Facebookの方では保護時から時々お知らせさせて頂いておりました。
当院には、患者様が保護して連れて来られました。生後1か月くらいと思われる子猫ちゃん(♀)で、同じように保護した他の兄弟猫と比べて元気がない、という事でした。お腹を触診してみると、まるで"ビーズクッション"を触っているかのような、通常ではまず感じるはずのない触感。嫌な予感しかしない状態でレントゲンを撮ってみると・・・
お腹(主に胃)いっぱいに詰まった無数の小石がありました。ビーズクッションのような感覚は、この小石がシャリシャリと動くことによるものだったのです。
保護された時は道路の側溝にいたとのことですので、お腹が空いたあまりに手近なところにあった口に入りそうなものを次々飲み込んでしまったのかどうなのか...とにかく、胃袋全部に石が詰まっていました。腸の方にも流れており、吐いたりする様子はこの時はみられませんでしたが、閉塞を起こしてしまう可能性は十分にありました。
元気な兄弟猫は保護された患者様にお願いし、今後どうなるかがわからないこの子は当院で預かる事になりました。
来院したその日の夜に緊急手術を実施し、胃と腸の一部を切開して、中にあった異物を摘出しました。
これが摘出した異物です。小石がほとんどで、その他にビニールひも、発泡スチロール片、写ってはいませんが回虫もいました。手術前の子猫の体重が500gで、摘出した石の重量は50gでした。1/10が石ということです。
手術直後の様子です。生後1か月くらいとすると、人間では2歳くらいでしょうか。状態も良くない中で、手術は何とか頑張ってくれました。後は体力をつけて、無事に回復してくれることを願うばかりです。
手術から2日目の様子です。手術翌日はさすがにぐったりしていてほとんど寝たままでした。頑張れるかなと心配でしたが、2日目には少しずつ自分で動くようになってきました。まだ点滴のみで、食事はこの翌日から水分→流動食へと徐々に量と内容を変えていきました。
少し日が空きますが、術後8日目の様子です。既にこの時点で流動食はしっかりと食べて便通も良いものが確認できておりますので、点滴は外してお薬の服用と食事管理に移行している段階です。非常に食欲旺盛で、この時もゴハンの追加を要求している様子です。
その後、院内で体力回復を主として、保護しておりました。
保護から2週間目くらいの写真です。
保護してから3週間目の様子です。成長して保護時から大分大きくなりました。ケージ内では大人しいのですが、外に出すとびびりまくりで目を離すとどこかの隅っこに隠れてしまうので、捜索が大変でした。写真撮るときも外に出してますので、目と表情が思い切りビックリしています。
この時点での猫エイズと猫白血病はとりあえずは陰性。駆虫も完了です。
手術の際に、避妊手術も同時に実施しています。早期の避妊手術の実施については、各方面で議論があり、影響があるとも、影響がないともどちらとも言われております。実施するかどうかは悩むところでしたが、大きくなってから再度麻酔をかけて行うよりも今回の手術の際に同時に行ってしまう方が短時間且つ簡便で済むこと、いずれ里親さんを探してお願いさせて頂くことを考慮し、この子に関しては実施しました。(通常の避妊手術は6か月齢以降で実施しております)
1回目のワクチン接種も終わり、里親となっていただける方をご相談したところ、何名かの方が有難いことに手を挙げて頂きました。
その内のあるご家庭にて、現在トライアル実施中です。
院内の様子からすると最初はびびってどこかに隠れてるんだろうなとは思いますが、時間が経てばもともとは人には慣れている子でしたので、順応してくれると思っております。
もしかすると助からないかもしれない、という状況から見事に回復して、新しい生活の場を得ようとしている子猫ちゃん。本人の生きる気力(と、その後の食欲)が、自らの道を切り拓いてくれました。
これから先も元気で過ごしてくれることを願うばかりです。