1/31に当院近くにあります町田リス園で、園内のリスに行われている定期検査でレプトスピラ症の陽性反応が検出され、現在、町田市保健所が確認検査を実施しております。
現時点で確定結果は出ておりませんが、検査結果次第では皆様に本疾患についてご注意していただく必要がございます。
レプトスピラ症は人畜共通感染症です。
(レプトスピラ菌の電子顕微鏡像。国立感染症研究所よりhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/531-leptospirosis.html)
病原性レプトスピラ菌を保有する主にネズミ類の腎臓に保菌され、その動物の尿を介して感染が媒介されます。尿を介して感染したレプトスピラは多くの動物(イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマなど)に保菌され、そのほとんどは症状を示さない不顕性感染となります。しかし症状を示していない場合でも細菌は尿を介して排出される為、知らずの内に感染を拡大させている恐れもあります。
今回のリス園のレプトスピラ疑いが確定した場合に、どういった経路で感染したかによって事態は大きく変わってきます。
尿を介した感染が最も多いですが、その感染経路は病原菌が含まれる尿または尿で汚染されたものを経口あるいは創口などからの経皮感染となります。(動物も人間も同じです)
レプトスピラ症は、急な発熱、元気消失・食欲不振という一般的な症状のみ回復してくる軽度なものから、黄疸や出血傾向、腎・肝障害を伴う重度なものまで症状に幅があります。
(上:結膜の黄疸と出血。 下:口の粘膜の黄疸と舌の内出血病変)
3~14 日間の潜伏期を経て、発熱、食欲不振と元気消失、嘔吐、下痢、結膜充血などが生じ、症状が進行すると口の粘膜の点状出血や黄疸、全身的な出血傾向が見られるようになり、更には腎不全・肝不全へと進行して、最悪の場合死に至ります。
症状が特徴的でない為、ワクチンの接種履歴、野生動物(主にげっ歯類)との接触歴、河川などでの遊びの有無などの問診が重要となります。
いずれにせよレプトスピラ症を疑う症状がある場合は、すぐに当院へご相談下さい。
また、犬の混合ワクチンにおいてレプトスピラ症予防は混合8種以上のものについては含まれていますが、それより少ない混合ワクチン(5種、6種)には含まれていません。
レプトスピラ症の血清型によっては、追加予防接種を推奨する場合がございます。
レプトスピラ症のワクチンについても、当院へご相談下さい。