【フィラリア予防】2025年のフィラリア予防期間について
まだまだ寒い季節ですが、今年は花粉の飛散が早々に始まっていますね。本格的な花粉時期はもう少し後になりそうですが、年々花粉症の季節も早くなり、そして長引いてきています🤧
さて、今回のタイトルの件につきましてお話させて頂きます。
春は各種予防のシーズンとなります。
狂犬病予防接種の通知が行政から届き始めるのが3月下旬頃となるでしょう。
ノミ・マダニの予防については、通常のお散歩ルートであれば桜の開花ニュースが出始めた頃で良いかと思いますが、草むらに突撃するタイプの子や、ドッグランなどで他のワンちゃんとの接触機会が多い子、アウトドア派なワンちゃん(川山遊び好きな意味)&ネコちゃん(※外出する猫ちゃんという意味ですね)であれば、なるべく通年予防、そうでないにしても早めの予防を推奨いたします。
特にワンちゃんでは必須予防となるフィラリア症。蚊を媒介にして伝染していく寄生虫疾患です。以前に比べると予防薬の普及と、飼い主様の予防意識の向上によって病気そのものを見かける頻度は減少してきています。
しかし、撲滅に至るまでには遥か遠い道のりの途中です。
感染して定着してしまうと容易に駆除は出来ません。予防薬の確実な使用でしっかりと予防できる疾患ですので、皆様にはしっかりと予防をお願いしたいと思っております。
フィラリア予防の期間(お薬の服用期間)というのは、例年の気温状況を基に算出するHDU(Heartworm Development heat Unit)という計算式があります。この計算方法にて予防期間を定めていくのですが......ここで冒頭の花粉の話と繋がります。皆様も実感されていると思いますが、年々の気温上昇は世界規模で進んでいます。地球温暖化...というよりかは、気候変動のレベルとも感じられます。すなわち、平均気温が上昇することで、HDUの計算が変わっていきます。
結果的にどうなるかというと、フィラリア予防の推奨期間が長期化してしまっているのです。
東京の気温データから、蚊の活動可能気温の目安として15.6℃があります。これを下回ると感染リスクは下がり、超えると感染リスクが上昇します。昔、例えば10年前と比べると平均気温は上昇しており、15.6℃の平均気温を下回る期間が減少しています。この状況から、AHSというフィラリア症の中心的学術機関からは、「犬猫ともに1年中の予防を推奨」という勧告が出ています。
では、この勧告を基準としていくと、フィラリア予防薬の使用が1年中、12カ月間となります。勿論それが健康には最も安心ではあるのですが......皆様の本音を私から代弁してしまうと身も蓋もないですが、『予防薬を1年中というのはなかなかお財布に痛い😿』というところがあると思います。
そこで、当院ではこのような予防予定を2025年はさせて頂きます。
フィラリアの予防期間については、必須と推奨と分けさせて頂きました。
例年同様に5~12月までの8か月間は予防必須期間、1~4月までは推奨期間とさせて頂き、生活環境や行動範囲などのライフスタイルに応じて予防期間を適宜延長する事を推奨します。既に通年通して予防をされている方もいらっしゃいますが、それはそのままで万全の鉄壁ガードとなりますので是非続けてあげてください。
ノミ・マダニ予防につきましては、こちらも活動範囲や生活圏の状況によりますが、3月~12月頃までは予防を推奨又は必須とご提案させて頂きます。
今後、気温上昇は継続的なものとなると思われます。その為、本年は推奨としている1~4月の予防につきましても、徐々に4月が必須、3月も必須...と段階的に延びていく事が予想されます。ワンちゃんネコちゃんのフィラリア症だけでなく、私達人間についても蚊からの媒介性疾患、記憶に新しいのはデング熱などの南方で多かった疾患が拡大してきています。
飼い主の皆様には引き続き高い予防意識を持って頂き、動物も人も健康維持に努めていただければと願います。