2023年12月

🐰⇒🐲 2023年、1年間大変お世話になりました 🐇⇒🐉


本日にて、年内の診察を終了とさせていただきます。

12月31日(日)~1月3日(水)までの期間は、休診とさせて頂きます。

年明けの診療は1月4日(木)からとなります。

1月の臨時休診日は、1月20日(土)全休となります。

2023年は、それまでの新型コロナからの様々な制約が解除された年でした。病気そのものが無くなったわけではありませんし、今時分はインフルエンザが猛威を振るっていますので引き続き感染症対策は継続していかなければいけませんね😷

本年も皆様には大変お世話になりましたこと、厚く御礼申し上げます🙇

引き続き2024年もどうぞ宜しくお願い致します。

どうぞ良いお年を皆様、お迎えくださいませ🐶🐱

IMG20231228173318.jpg(※今年から、干支の着ぐるみ人形さんが無くなってしまいました😿)



健康診断で異常が発見された一例その2(ワンちゃんの脾臓腫瘤)


前回に続いて、今年の秋の健診時に見つかった異常でのケースリポートその2です。

今回のケースはワンちゃんです。毎年、健診を実施させて頂いている子です。

今年も例年と同様の健診コースでご依頼いただき、実施致しました。特に日常生活での大きく気になる点や変化兆候などはありませんでした。

いざ健診、各種検査を実施させて頂くと明らかに気になる点&前年の検査所見と異なるところが見つかりました。

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レントゲン検査では、赤丸の部分に前年は見られなかった陰影が認められています。続けて実施した超音波検査では、脾臓という臓器に明らかに腫瘤が存在している所見が見られました。

超音波の画像所見からの推測として、脾臓の結節性過形成あるいは血腫という良性の腫瘤性病変を疑いました。

中高齢のワンちゃんには時折見つかることがあるもので、悪性腫瘍ではなく良性の病変です。どちらも転移などすることはありませんが、大きくなってきて周りの臓器を圧迫したり、良性であっても最悪は破裂したりする事もあるので注意が必要です。

飼い主様とのご相談で、何れ大きくなることで問題が生じてしまうかもしれない可能性があるのならば、今回の健診でこの異常所見以外には大きな問題点は見られなかった事から、麻酔による外科的介入の実施は可能と判断されますので、早期の外科介入を行って予防策を講じましょうという結論になりました。

後日、全身麻酔を行い、腫瘤を含めた脾臓の摘出手術を行いました。ちなみに脾臓という臓器は、極論を言ってしまえば、切除して失ってしまっても日常生活は通常に送ることができる臓器です。血液の貯蔵、免疫系の調整などの臓器としての役割は当然に持っていますが、他の臓器でも代替やサポートが可能である為、前述のような言い方もできてしまいます。あるに越した事はありませんが。

さて、手術時においてですが、一つトラブルが発生してしまいました。実際に手術を行うと、事前の予想通りに良性の病変であろうなという外観をしておりました。順調に脾臓摘出の段取りは進んでいたのですが、その途中で腫瘤の一部が自重により一部が裂け始めてしまったのです。幸いにして、腫瘤側の方から血管を止めて進んでいたので、大出血することはなく、少しドキっともしましたが結果的にはその後の問題はなく手術を終える事が出来ました。

さて、この時点で「この程度で損傷してしまう程に脆弱な腫瘤は果たして良性の病変なのだろうか...?」と嫌な想像をしてしまいました。脾臓に発生する腫瘍(※腫瘤、という表現ではなく)は、悪性の挙動を示すものが非常に多く、難敵揃いです。超音波検査&手術時の外観から良性病変と考えていたので、このイベントがあった時からもしかするとという想像が出てきてしまいました💦

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摘出した脾臓&腫瘤になります。赤丸が腫瘤ですが、本来は右側のみで、左側は裂けて開いてしまったところとなります。

手術翌日には退院し、病理検査の結果をハラハラしながら待っていましたが...

良性の結節性過形成でした!良かった!

脾臓の良性腫瘤は時々遭遇する事のある病変で、即座に外科介入をしなければならないというものでないケースも沢山あります。

今回の件も当初はそのように思っていましたが、結果として脆弱性があったことから様子を見ていた場合にはもしかすると腫瘤が破裂して大出血を起こしていた可能性も非常に高かったと思われます。早期の手術介入を決断、同意していただいた飼い主様の判断が冴えわたったケースだと思います。

仮に脾臓に腫瘤、良性のそれが見られた場合には、必ず今後の事も踏まえてご相談させて頂きたいと思いますので受診・経過観察を宜しくお願い致します。



健康診断で異常が発見された一例その1(猫ちゃんの膀胱結石)


今年も多くの方に秋の健診キャンペーンをご利用いただき、誠にありがとうございました。

今回は今年の健診において新たに認められた疾患で、外科的介入の実施に至ったケースをご紹介させて頂きます。

ケースリポート①は、猫ちゃんの膀胱結石です。

元々、この子は心臓に軽度のトラブルが以前に認められており継続的な治療を行っていました。

年齢もシニア世代になってきたから心臓とあわせての、初めての全身的な健診となりました。

健診の検査の中で認められたのが、膀胱結石でした。

特に今までは膀胱結石や、膀胱炎などの尿路系トラブルが認められたことは特にありませんでしたし、飼い主様にお伺いしても当院で継続的に受診して頂く以前にも同様の問題は見られていなかったようです。

尿検査では、その時はストルバイト結晶という尿石の種類が検出されました。この種類の尿石は内科治療により時間は要しますが少しずつ石が溶解してくれる可能性があります。既に膀胱内に幾つかの結石が形成されていましたが、血尿頻尿などの膀胱炎症状は見られていなかった為、この内科治療を長期的に実施して経過を見ていきましょうという事になりました。

気がかりだったのは、レントゲンに写っている膀胱内の結石の形が、尿検査で出てきた結晶の種類と違う気がするのだが...という事でした。

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健診結果を受けて治療方針を定めてから約2週間後...血尿頻尿の症状が出現してしまいました。

原因は明らかに膀胱結石に因ることは明白でしたので、溶解を目指す治療は既に実施済みでしたから二次的に生じた膀胱炎を対症的に治療していくことになりました。

しかし、その後も改善~再発を繰り返すことになり、猫ちゃんもトイレとお友達になってしまう時間が長くなってきて、それに伴う疲れも見られるようなことが増えてきてしまいました。

画像検査上の違和感もずっとあったことから、尿検査で検出されていた石の種類と膀胱内のそれは異なるであろうという判断のもと、膀胱内のそれは溶解しないタイプであると考えられるので経過を見ないで摘出手術をした方が状況改善には良いと判断し、膀胱結石摘出の為の手術を行う事になりました。

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手術にて摘出された結石が上の写真になります。綺麗な花の形のように見えますが、この花びら部分の膀胱粘膜に突き刺さるように存在していたと考えられ、持続的な不快感や炎症を引き起こしていたものと考えます。

摘出した石の種類はやはり溶解しないタイプの、シュウ酸カルシウム結石でした。

尿検査で検出されたものと異なるのは、もしかすると大元のシュウ酸カルシウム結石が存在することにより引き起こされた初期の膀胱炎症状の過程でストルバイト結晶が形成され、それが健診時の尿検査で見つかった・・・のかもしれないという推測です。

残念ながら腎臓内にも小さな結石が存在しており、こちらも恐らくは溶けない石と考えられます。今後も引き続き石の形成予防と、溶解の可能性が少しでもある方策でもって継続的に治療を行っていくことになりました。

手術の退院後以降、トイレとお友達としての距離感は適切にお付き合いできているようです。良かった!



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