皮膚に発生する"できもの"いろいろ
皮膚の病気は飼い主様が目に見えて気づきやすい点で、発見が早い傾向にあります。
・皮膚が赤い、といった色調の変化
・脱毛してきて毛が薄くなってきた
・フケが多くなった
・しこりができている
などなどです。普段目にしやすい背中側や頭部の病変は発見されやすいですが、お腹側の脇や股の辺りといった陰になり易い場所だったり毛量が多い子は見つけにくい事もあります。普段からブラッシングや定期的に(毎日でなくても十分です)体を触ったりしてコミュニケーションを取りつつ、皮膚のトラブルを早期に発見するという事は非常に大切です。
今回は皮膚のトラブルの中で、"できもの"(しこり)について幾つかご紹介したいと思います。
よく「イボができてしまった」とご来院されるケースがあります。イボといってもその形や大きさは様々です。
特別に治療介入しなくとも悪さをしなければ様子を見てもよいものもあれば、悪さをしている・今後しそうなものは治療しなくてはならないものなど、ケースバイケースです。
外見のみでの判断では誤ってしまう事がある為、一言に"イボorできもの"といっても、やはり検査を行って調べておくことが望ましいです。
上の7つの写真ですが何れも皮膚のしこりやできものを主訴にご来院された例で、全て切除摘出した後に病理検査を実施して確定診断が出たものになります。
発生場所や形、動物の種類・年齢といった情報は勿論重要ですが...
さて、今回は外観のみで結果的にどれが腫瘍で、そして良性悪性だったか、わかりますか?
ちょっと予想してみて頂ければと思います。
では解答に参りましょう。
腫瘍性で且つ残念ながら悪性という結果だったものは、③と④です。
腫瘍性且つ良性という結果は、①②⑤⑥です。
非腫瘍性だったものは⑦でした。
どうですか?予想されたものと合っていましたか?
良くない・悪そうな"できもの"のイメージは、見た目の色が赤かったり赤黒くなっていたり、形が不整だったりというものがあるかと思います。確かに短期間の間に大きくなってきて色調が変わっているものは悪い例である事が多いのも確かですが、一概にそれだけで悪性と判断する事はできません。
"できもの"を見つけた際には、様子をずっと見続けるのではなく早めに一度診察をして、それが何であるかを調べておく事が大切です。
検査には針生検、切除生検といったできものの細胞組織を採取して顕微鏡で視ることで相手の正体を調べる事が一般的です。
針生検は簡便で負担も少ない事からよく実施される検査です。但し採取される組織量は少ない為、確定診断には至りません。
切除生検は病変の一部あるいは全てを採取して検査するもので、小さければ局所麻酔、大きいものは全身麻酔にて採取します。小さすぎて針生検が実施できない例や、小さめで切除する事で検査と共に治癒が期待できそうな場合にはこちらを選択する事があります。
いずれにせよ、外見では腫瘍なのかそうでないのか、良性なのか悪性なのかは目安でしか判断できない為、気になる"できもの"を見つけた場合には、検査を含めて受診されることをおすすめいたします。